経団連と中経連が懇談 新たな成長、企業の構造改革へ議論【宇部】
日本経済団体連合会(会長・十倉雅和住友化学会長)と中国経済連合会(会長・芦谷茂中国電力会長)共催の中国地方経済懇談会は21日、ANAクラウンプラザホテル宇部で開かれた。両団体の役員、中経連の会員企業を合わせて150人が出席。「新たな成長に向けた構造変革の実現-魅力あふれる中国地方創生への挑戦」をテーマに議論を交わした。 県内では2018年3月に同ホテルで開催されて以来6年ぶり。経団連からは十倉会長、安永竜夫副会長(三井物産会長)ら、中経連からは芦谷会長、山本謙副会長(UBE会長)、川上康男副会長(県商工会議所連合会会頭)らが出席した。 中経連は、地域企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の推進などについて、取り組み状況や課題を報告。経団連役員が各課題に対する取り組みや考え方を述べた。 宇部商議所の杉下秀幸会頭は、賃上げがなかなかできない中小企業から人材が流出して日本全体の格差が生まれ、中小企業が淘汰(とうた)される懸念を示した。経団連の小路明善副会長(アサヒグループホールディングス会長)は、DXを活用した生産性の向上と人への投資を解決策に挙げ「中小企業の淘汰は社会全体で回避しなければ」と口にした。 懇談会後の会見で十倉会長は「中小企業の賃上げは大きな課題。供給網全体での価格転嫁を進めていく必要がある。今回の賃上げの流れを逃すことなく、デフレからの完全脱却につなげたい」と述べた。 懇談会に先立ち、十倉会長ら経団連、中経連の役員と関係者約40人が、二俣瀬善和の食品機械メーカーのヤナギヤ(柳屋芳雄社長)を視察し、工場では同社が誇るかにかま製造機械などを見学。柳屋社長は、時代の変革に対応し顧客のニーズに的確に応えながら、困り事を解決する機械づくりを進める同社の取り組みなどを説明した。同社の機械で作った商品などの試食もあった。 同社への経団連役員の視察は06年以来。柳屋社長は「日本経済界の重鎮の方々に、困り事を解決する企業だと知ってもらった上で、いろいろなことを行っているんだと言ってもらえたのは名誉なこと」と話した。