オランダで極右主導の連立政権が発足 首相は元情報機関トップ
昨年11月の総選挙で極右「自由党(PVV)」が第1党となったオランダで2日、同党など4党による連立政権が発足した。ウィレムアレクサンダー国王が同日、承認した。オランダで極右が政権入りするのは初めて。 【写真まとめ】鉄道は温室効果ガス削減の切り札か 欧州に残る高い壁 過激な主張が物議を醸してきたPVVのウィルダース党首は首相に就任せず、政党に所属していない元情報機関トップで司法・安全省高官のディック・スホーフ氏(67)が就いた。 連立政権は、PVV▽ルッテ前首相の中道右派「自由民主党(VVD)」▽中道の「新社会契約党(NSC)」▽厳しい環境規制に反対する農家の支持を受けた新興右派「農民市民運動(BBB)」――の保守系4党で構成する。 新政権は難民・移民政策の厳格化で合意。加盟国間で難民や移民の受け入れを分担する欧州連合(EU)の規則から離脱するほか、国境管理を強化。外国人労働者や留学生の数も減らすという。一方でウクライナ支援は継続し、環境政策でも既存の合意を順守する。 昨年11月の選挙では、反移民・反イスラムを掲げ、EUに懐疑的なPVVが事前の予想を覆して大勝した。ただ人種差別的な発言を繰り返すウィルダース氏に他党の警戒感は強く、連立交渉は難航。連立相手の要求でウィルダース氏は首相の座を断念した。閣僚にも就任しない。 首相にはウィルダース氏の指名でスホーフ氏が就任した。ウィルダース氏は引き続き党首を務め、実権を握るとみられる。 ただ、連立4党の中で政権入りした経験があるのはVVDだけだ。4党の政策には相いれない部分も多く、欧州メディアは年内にも連立が立ちゆかなくなるとの見方を伝えている。 2010年から政権を率いたルッテ氏は、すでに政界引退を表明。10月に任期満了を迎える北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長の後任となる。【ベルリン五十嵐朋子】