香港の民主派メディア王、国安法違反の裁判で出廷
香港(CNN) 香港の民主派メディア「リンゴ日報」の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏(77)が香港国家安全維持法(国安法)違反の罪に問われている裁判で、黎氏が20日、法廷で自身の主張を展開した。 黎氏が公の場で発言したのは、2020年12月にほかの民主化活動家らとともに逮捕されてから初めて。 当時より明らかにやせた姿で、傍聴席の支持者らに手を振りながら法廷に入った。 同氏は国安法に基づき、外国勢力と結託した罪と扇動罪で起訴された。検察は、黎氏がメディアを通して香港の民主化運動や独立論をあおり、トランプ前米政権などに香港当局者への制裁を要請したと主張している。 裁判は昨年12月に始まり、弁護側の棄却請求が退けられた後、この日に審理が再開した。本人は無罪を主張しているが、有罪となれば終身刑を科される可能性がある。 黎氏は法廷で、民主派による19年の反政府デモについて、自身は常に暴力に反対していたと述べた。 リンゴ日報は21年に廃刊に追い込まれたが、黎氏は同紙やスタッフが香港独立に言及するのを認めたことはないと強調し、独立論者との説は自身をわなにはめようとする「共謀」だと語った。 黎氏は反政府デモのさなかに渡米し、当時トランプ政権の副大統領だったペンス氏らと香港情勢を協議していた。同氏は20日、「ペンス氏には香港への支持を訴えただけで、具体的な行動は要請していない」と主張した。 トランプ氏は大統領選に勝利する前のインタビューで、再選されたら黎氏を釈放させると断言していた。一方、黎氏は法廷で、トランプ氏と話したことはないと供述。「私のことは知らなかったと思う。側近たちが知っていて、本人に説明したのだろう」と話した。