“クリーンエネルギー自動車”の購入で「最大85万円」の補助金も…経済産業省が推進する“GX”とは?
◆導入が容易な次世代の太陽電池を開発
そのGX投資支援策の1つである「グリーンイノベーション基金」は、脱炭素効果の高い革新的な技術開発をおこなう企業や研究機関に対して、その技術開発から実際に社会で活用できるようになるまでを視野に入れて、最長10年間支援するもので、「すでに20のプロジェクトが立ち上がっており、それらへの支援額は2兆円を超えています」と佐野さん。 そのなかでも、代表的なプロジェクトとして来年にも実際に市場に事業化されるのが「ペロブスカイト」と呼ばれる次世代太陽電池です。 一般的な太陽光パネルは耐久性に優れ、変換効率も優れているのですが、重量があるため設置場所が限られています。一方、ペロブスカイト太陽電池はフィルム状で“薄い”“軽い”“柔軟”といった特徴があるため、ビルの壁や重量が重すぎて設置できなかった建物の屋根などにも設置可能。太陽光発電を導入する可能性を大幅に広げるものとして期待されています。 ほかにも、水素を使ってCO2の排出量を抑える新しい製鉄技術や、火力発電の燃焼時にCO2を排出しないアンモニアを燃料とする発電技術などの開発も進んでいます。さまざまな企業が脱炭素に向けて、最新の技術開発に挑戦しています。
◆暮らしに関するGXの補助金制度に注目
しかしながら、日本全体でGXを実現するためには、企業側が革新的な技術開発をするだけでは十分とは言えません。「日本のCO2の総排出量の内訳をみると、実は日頃の生活から排出される量が4分の1も占めています」と佐野さん。 特に家庭では、冷暖房や給湯の際にCO2をたくさん排出することが分かっています。そのため、国は住宅の断熱性能の向上や高性能な省エネ機器の導入などが進むように、暮らしに関連するGXに対しても3年間で2兆円を超える支援をおこなっています。 <補助金制度の一例> ・断熱性能が優れた窓 ガラスの交換や内窓の設置、外窓の交換など、工事の内容に応じて補助額はさまざまですが、1戸あたりの上限を200万円として、かかった費用の約半分が補助されます。 ・高効率給湯器 電気やガスの使用量が抑えられる給湯器が3種あります。高効率給湯器の購入の場合は、機器や性能に応じて補助額が定額で決まっており、最大で「ヒートポンプ給湯器」は1台につき13万円、「ハイブリッド給湯器」は1台につき15万円、「家庭用燃料電池」は1台につき20万円です。 ・クリーンエネルギー自動車の購入 対象となる電気自動車や、外部から充電できるプラグインハイブリッド車を購入する場合、最大85万円の補助を受けることができます。 ・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の購入 ZEH(ゼッチ)とは、建物の断熱性を高めて省エネを実現するとともに、再生可能エネルギー(創エネ)によってエネルギー収支ゼロを目指した住宅を指します。購入の場合は1戸あたり55万円、より高い基準をクリアした高性能なZEHを購入する場合には、1戸あたり100万円の補助を受けることができます。 住宅に関わる省エネ化の支援事業の詳細は、経済産業省、環境省、国土交通省の支援策をまとめて確認できる「住宅省エネ2024キャンペーン」や「給湯省エネ2024事業」の特設サイトで確認できます。 日本のエアコンや給湯器は、その性能の高さから世界的にも支持されています。企業の取り組みと国民の省エネ活動もあって、日本の温室効果ガスの排出量は日本が目標としている「2050年カーボンニュートラル」に向けて順調に減少しています。この“目標の達成”に向けては、これまで紹介した取り組みを含め、脱炭素効果の高い革新的な技術や製品の開発、脱炭素型ライフスタイルへの転換をさらに進めていくことが必要と考えられています。 最後に佐野さんは「社会全体でCO2の排出量を減らすとともに、それを成長につなげていくべく、さまざまな支援策をご用意しています。これを機に、ぜひグリーントランスフォーメーションへの理解を深め、みんなで次世代に誇れる明るい未来を創っていきましょう!」と呼びかけました。 番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「GX」について復習。2人が特に注目したことをピックアップ。村上は“世界に誇れるGX”と挙げ、「“世界に誇れる”というところがポイントかなと思います」と強調します。続いて杉浦は、注目ポイントに“一人ひとりがGXを意識していこう”を書き、「いろいろな取り組みや支援策があるので、それを意識していきましょう!」とコメントしました。