地上波アニメ界に“変化の春”到来 TBS系に転換点、日テレの健闘、フジは外資…各局の深夜アニメ事情
何でも屋のテレ東系、外資多めで『鬼滅』も控えるフジテレビ
地上波アニメを語るうえで、TBS系に負けず劣らずのテレ東系は欠かせない。多くの作品が“テレビ東京系列6局ネット”という形で放送されているが、今期は特にゲーム作品のアニメ化に力を入れている印象にある。うち一つには毎週日曜日23時45分~放送の『ブルーアーカイブ』が挙げられ、初回放送となった4月7日(日)にはXのトレンド上位を翌朝まで独占、圧倒的な原作人気を再認識させられた。 このほか、ゲーム原作からは『アイドルマスター シャイニーカラーズ』が毎週金曜日に放送されているほか、深夜帯としては月曜日を中心に『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』『狼と香辛料(新版)』『怪獣8号』などの作品が並んでおり、テレ東ならではの“ちょうど良い規模感”が製作側や視聴者からも支持されていることがうかがえる。 一方、フジテレビ系ではこれまで紹介した局と比べて一風変わった戦略を採っている。それは“日本国外原作・製作の作品に重きをおいている”状況が挙げられ、4月からの「+Ultra」(毎週水曜日24時55分~)枠にはLINEマンガオリジナル原作、韓国漫画家による『喧嘩独学』のアニメ放送がスタート。さらに、昨年10月には中国の動画共有サイトと協同で新アニメ枠「B8station(ビーハチステーション)」を設立しており、こちらも4月から本格的に展開がスタート。 完全新作となる中国アニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』が「+Ultra」放送後にあたる25時25分~オンエアされている。なお、『うる星やつら』も昨年から引き続き放送されているほか、5月からは大本命とも言える『鬼滅の刃』も控えており、その点では他局と遜色のないラインナップにもなることが見込まれる。
テレ朝系は新ジャンルに挑戦
深夜帯におけるアニメ枠の充実として、今後の発展が見込めるのがテレビ朝日系列で、在京のテレビ朝日は「NUMAnimation」を、在阪の朝日放送(ABC)は「ANIMAZING!!!」をそれぞれ土曜深夜に設定している。4月からの運用上の変更は特段ないものの、前者では一迅社「コミック百合姫」連載のバンド×青春×百合アニメ『ささやくように恋を唄う』を放送、後者は実に5クールぶりに“なろう系ではない”作品『となりの妖怪さん』を放送するなど、新ジャンルの開拓も伺えた。 以上が各局の直近の動向だが、最後に番外編として、関東ローカルにも関わらず毎期50作品以上を放送する“ヤバい放送局”で知られるTOKYO MXにも触れたい。4月放送開始の新作アニメとしては、異世界からラブコメ、オカルトまで多様なジャンルが各曜日ラインナップされているが、今期は特にオリジナルアニメーションが充実している。 『ガルパン』水島努監督による『終末トレインどこへいく?』に始まり、『ガールズバンドクライ』や『夜のクラゲは泳げない』といった“音楽“をテーマとするものまで多数展開。“キー局出資なし=全国ネットでの放送枠の確保が厳しい”状況にありながらも注目作の一つとしても各所で挙げられるなど、健闘している状況にある。
オタク総研編集部