年収1000万円の会社員にも「年収の壁」がある? どんな節税をしているの?
年収が高ければその分だけ生活に余裕があるように見えますが、実は税制面に関する優遇や子どもに関する手当に対して制限を受ける場合があります。 本記事では、年収1000万円の会社員における年収の壁や節税方法について解説します。家族や子どもがいる、これから増える予定の会社員は、ぜひ参考にしてみてください。
年収1000万円以上の会社員の約7割が働き損を感じている
Sasuke Financial Lab株式会社(東京都千代田区)が運営する保険の一括比較・見積もりサイト「コのほけん!」が、2023年10月に年収1000万円以上の会社員109名を対象とした「高所得者の家計負担に関する実態調査」では、約7割が年収の増加による働き損を感じている旨を伝えています。 働き損を感じる具体的な事柄については、所得税/住民税が高い(75.3%)、社会保険料が高い(71.2%)、配偶者控除/配偶者特別控除が受けられない(41.1%)、児童手当の支給対象外(39.7%)といった回答が見られます。 ■年収1000万円を超えると配偶者控除を受けられない 控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合、配偶者控除を受けられません。配偶者控除は、所得税法上の控除対象配偶者がいる納税者が受けられる所得控除で、配偶者の年齢が70歳以上か以下かによって控除額が分類されます。配偶者の年齢が70歳以下の場合、控除額は図表1のとおりです。 【図表1】
国税庁「No.1191 配偶者控除」より筆者作成 ■給与所得控除額は年収850万円以上で一律195万円(上限) 給与所得控除は、給与所得に対して段階的に設定されています。給与などの収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額)に対する給与所得控除額は図表2のとおりです。年収850万円を超える場合は、一律の上限額である195万円しか控除されません。 【図表2】
国税庁「No.1410 給与所得控除」より筆者作成 ■児童手当における年収の壁もある 年収の壁は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育する人に対して支給される、児童手当にもあります。児童手当の支給額は、子どもの年齢に応じて1人につき以下の額を支給します。 ・3歳未満:一律1万5000円 ・3歳以上小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5000円) ・中学生:一律1万円 所得制限は所得額や扶養人数によって図表3のように上限が異なり、所得制限限度額以上所得上限限度額未満の場合は一律5000円の特例給付、所得上限額以上は児童手当の支給そのものを受けられません。 【図表3】