「ロケットは難しいんだな」…カイロス打ち上げ再延期に和歌山の見学場はため息と「次のその時」への期待
感動は再び、持ち越しとなった。和歌山県串本町の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」で15日に予定されていた小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げは、直前に2日連続の延期が発表され、公式見学場を訪れたロケットファンらからはため息が漏れた。発射場上空の強風が再延期の理由で、次回は18日午前11時の打ち上げを目指すという。
県によると、15日に2か所の見学場に訪れたのは約2000人。14日の半分以下となった。
見学場の一つ、田原海水浴場(串本町)で延期がアナウンスされると、「またか」という声が上がった。
家族で見学場に足を運んだ橋本市の小学1年生は「悲しいけど、延期にはもう慣れた。ロケットは難しいんだなと思う」と語った。
堺市東区の会社員(39)は、14日に続いて家族4人で訪れた。「いったん家に帰ったが、再挑戦と聞き、再び車で駆けつけた。5歳の長女は友達とのクリスマス会を諦め、カウントダウンを楽しみにしていたので、残念だ。でも、初めての打ち上げ成功は一度きりで、後悔はしたくない。できれば次回も来たい」と話した。
もう一つの見学場の旧浦神小学校(和歌山県那智勝浦町)も熱気に包まれていた。
愛知県清須市の会社員(54)は車中泊をして2日連続で訪ねたといい、「打ち上げは宇宙産業や地元の盛り上がりにつながる。残念だけど失敗ではないので、次に期待したい」と語った。
東京都板橋区から来た小学4年生(10)は「楽しみにしていたのに残念。次は学校を休んででも見に来たい」。母親(45)は「打ち上げの成功はみんなの願い。天候条件が合わないのだったら仕方ない。和歌山には観光できるところが色々あることが分かったので、また子どもを連れてきます」と笑顔で見学場を後にした。
和歌山市の複合施設「イオンモール和歌山」は15日もパブリックビューイングを実施したが、「その時」を上映することはできなかった。14日に続いて見に来た同市の会社員(65)は「子どもの頃に触れた『鉄腕アトム』の影響もあり、宇宙が好きになった。打ち上げの延期は残念だけど、完璧な状態で打ち上げたいという意思が伝わる。失敗したわけではないので、前向きに考えたい」と拍手を送った。
「次こそは」記者会見で意欲
カイロス2号機の打ち上げを担う宇宙関連の新興企業「スペースワン」(東京)の阿部耕三執行役員は15日の記者会見で「『次こそは』という思いがある。(天候など)諸条件をしっかりと見極めて、打ち上げ、人工衛星の分離を報告したい。引き続き、声援をいただけるとありがたい」と述べた。