「推し活」全盛時代に、つんく♂が思い描く未来「グループアイドルの形は進化していくはずだ」
一方、「ハワイやアメリカでグループを作れば?」とはよくいわれるものの、アイドルグループはアメリカではまず成立しないと思う。一旦出来上がったとしても、長続きしないんじゃないかな。 アーティストになりたいということは、自分の表現したいことがあるわけです。そう考えるアメリカの若い子たちが、誰かと足並みを揃えて同じように活動する、なんてことは2年も続かないように思います。 ――韓国や日本でアイドルグループが盛り上がったのは、グループで行動できることが大きいのでしょうか。
韓国と日本のアイドル文化って、似ているようで似ていないんですよね。いずれにせよ、韓国と日本のアイドル界は、そもそもアメリカのスターのように億万長者になれるような世界ではない。国内では少々お金持ちって程度です。 それを踏まえて歴史を見ると、まず、日本におけるアイドル活動の目的としては、金銭面よりプライドが勝っていたんじゃないかと思う。 ■韓国内のパイは日本より小さかった ――どういう意味でのプライドでしょうか?
ピンク・レディーにしてもキャンディーズにしても、グループサウンズの頂点を極めたザ・タイガースやザ・スパイダースにしてもそう。その後のバンドブームでも、日本の音楽界のために皆が一丸となって戦っていたように思えます。一糸乱れぬ感じで、足並み揃えて。 K-POPも、そもそもの気持ちは日本のアイドル界、音楽界と同じだったかもしれません。ただ、韓国内のパイは日本より小さい。そのため、より早く世界に向けて発信するようになったとも言われる。
さらに感性の面でも、時代に対してより敏感だったのではないか。ピリっとした強い刺激がいい感じで、大陸続きのアジア勢に素早く響き、広がっていったように思います。 ■ソロのアーティストが強い日本の現状 ――グループ活動が成立しやすい点では同じでも、日本と韓国とでは少し異なる歴史を辿ってきたと。日本のアイドルグループの今後をどのように考えますか。 日本では、今はソロのアーティストが強いですね。バンドのボーカルを含めて、多人数のボーカルグループより、単独で活動する歌手の歌のほうが聴きやすいとされる時代かもしれません。