兵庫女児刺傷事件「結果的に18年」 物的証拠乏しく捜査難航
兵庫県たつの市の路上で18年前、女児を刃物で襲って重傷を負わせたとして、兵庫県警は7日、別の女児殺害事件で無期懲役が確定して服役している勝田州彦(くにひこ)容疑者(45)を殺人未遂の疑いで逮捕した。容疑者はこの1年後、兵庫県加古川市で女児が殺害された事件への関与を示唆する供述をしており、県警は連続女児殺傷事件とみて慎重に捜査を進める方針だ。 【図解で分かる】一連の事件を巡る経緯 容疑者の逮捕まで18年もの月日を費やした。兵庫県警捜査1課の天野敏孝次席は7日の説明で「その都度、必要な捜査をしてきた。結果的に18年かかった」と述べるにとどまった。 物的証拠や目撃証言に乏しく、捜査が難航してきた事件だった。関係者がビラを配るなどして延べ約400件の情報提供があったが、容疑者につながる有力なものはなかったという。 県警は事件直後に不審な人物の防犯カメラ映像を公開しているが、この日は詳しい証拠については明らかにしなかった。刃物で刺したとする容疑者の説明と物的証拠の整合性が有罪立証の鍵を握っており、今後どこまで明らかになるかが焦点となる。 一方、現場近くの複数の地元住民によると、今年夏ごろから捜査員が頻繁に現場を訪れていたという。県警が容疑者に聴取をしている時期と重なる。捜査員が周辺をメジャーで測ったり、住民らに聞き込みをしたりする姿が見られていた。 容疑者の逮捕を受け、たつの市教育長を務めていた苅尾昌典さん(80)は子供を狙った事件に怒りがこみ上げた当時を思い出した。重傷を負った女児は元気に過ごしていると聞いており、「家族はずっと心を痛めていたと思う。どうしてこんな事件を起こしたのか知りたい。早く解決に向かってほしい」と語った。【中田敦子、幸長由子】