<上海だより>上海のプラタナスに異変? 舞い散る綿毛が吹雪のよう
上海といえばプラタナスの街路樹、ということはこれまでにも度々書いてきたが、春の風物詩であるプラタナスの綿毛が舞い散る季節がついに訪れました。 しかし、今年はいつもと少々状況が違うようです。というのも、毎年冬になるとプラタナスの枝の剪定が行われるのですが、今年は剪定がなされなかったことが元々話題にはなっており、春にはどれだけ緑道が綺麗になるものかと多くの人が楽しみにしていました。しかし、4月上旬に春の新緑に目を奪われていたのは束の間の感動でした。
綿毛が降り始めた頃はまだ良かったのですが、4月19日から状況は一変しました。例年からは想像もできないほどのおびただしい量の綿毛が上海中心部に舞い始めたのです。風が強く吹いた際には、それはもう吹雪のごとく襲いかかってきますし、風が弱いときには微細な綿が空中に浮遊し続け、常に綿毛を吸い続けている感じです。
具体的な症状としては、目が痒く、鼻もむず痒くなりくしゃみが止まりません。咳が止まらない人も多いようです。また、微細な綿が残っているのか、顔面や全身にかゆみもあります。さすがにこれには現地の人たちも参っているようで、普段からPM2.5に苛まされていながらもマスクをつけない中国人たちがマスクを着用したり、ハンカチで口を覆うなどしている姿を見かけます。
PM2.5の汚染指数については中国人も常にチェックしていますし、実際に視界が曇るなどの影響はあります。ですが、上海に関しては北京ほど汚染されていないですし、現地の生活に慣れている人にとっては気にしていても仕方がないので、正直マスクをしている人の方が少ないです。しかし、ここまで即時的に症状が出るとなると、さすがの中国人もお手上げのようです。
また、大変なのは一般生活者だけではありません。日々路上を清掃している労働者たちも作業量が増えて大変です。路上を掃けども掃けども、無限に上から綿が舞い降りてきます。この並木道は中心部の至る所に続いているわけですから、その作業量は計り知れません。この綿毛はまだ1週間ほどは降り続くでしょう。
このプラタナス、綿の犯人である実が鈴に似ていることから日本では「スズカケノキ」と言われています。古代ギリシアでは哲学者たちがこの木陰で涼みながら思案していたことから、花言葉は「天才」だそうです。しかし、この激しい綿吹雪の下では、さすがのソクラテスやプラトンも哲学どころではなかったかもしれませんね。