「オレは井上尚弥より勝っている。クロフォードやデービスのようにだ」なぜ来日した“優等生”ネリは真っ黒な“悪童”に豹変したのか…モンスターはビッグマウスを歓迎
5月6日に東京ドームでスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(31、大橋)に挑戦する元2階級制覇王者のルイス・ネリ(28、メキシコ)が21日、羽田着のAA機で来日した。空港で取材に応じたネリは「オレは井上より勝っている。クロフォードやデービスのようにだ」と豪語。3月の来日会見で見せた優等生ぶりから豹変し、井上もSNSで「そのくらいの意気込みがなきゃね」と歓迎した。ゴングを16日後に控えて空前絶後のビッグマッチが盛り上がってきた。
やはり本性は隠せない。 3月6日に来日して出席した公式会見では、謝罪や優等生発言に終始していた“ホワイトネリ”をイメージづけた“悪童”が決戦16日前にして“ブラックネリ”に戻った。 すでに米専門サイト「ボクシング・シーン」のインタビューに答え「井上は過大評価されている。肉体的には小さなファイターだ。他のファイターと同じような平凡なファイターだ」「契約に再戦条項はないのは彼が自信過剰だからだ。彼は楽勝だと思っているだろうが、サプライズがやってくる。彼らがこの戦いを受け入れたのは間違いだろう」などと大放言していた。 来日した空港で行われたミニ会見で、その発言の真意を問われた。 学者のようなダテ眼鏡にTシャツ、半パン姿のネリは、ニコリともせずにこう返した。 「井上は、いいボクサーだ。スピードがあってパワーもあり才能はある。だがオレは井上より勝っている。クロフォードやデービスのようにだ」 井上より一足先に2階級4団体統一王者となった現ウェルター級の3団体王者のテレンス・クロフォード(米国)、WBA世界スーパーライト級王者の“KOマシン”ガーボンタ・デービス(米国)のビッグファイターに肩を並べたような発言をした。 「(井上は)パウンド・フォー・パウンドのナンバーワンじゃない。もっといいボクサーがいる。それをメディアがナンバーワンと認識するなら喜ばしいこと。オレはそのナンバーワンと戦えるんだからな」 メディアへの皮肉を交えてモンスターをディスった。 米の権威ある「リング誌」のパウンド・フォー・パウンドのランキング1位はクロフォードで井上は2位。「8か月も防衛戦を行っていないクロフォードより井上を1位にすべきだ」との議論もあり、ネリの言っていることは、あながち間違いではないが、リスペクトを欠く発言だ。 またネリはJBCに謝罪文を添えて無期限の活動停止処分の解除を求め、今回の試合を認めてもらったにもかかわらず、その米メディアのインタビューに「奴ら(JBC)はオレが井上と戦うと儲かると思って解禁したんだ」と発言していた。ネリは2018年の山中慎介氏とのWBC世界バンタム級タイトルマッチの再戦の計量で大幅な体重超過を犯して失格となり王座を剥奪され、JBCから“永久追放”処分を受けていた。 その発言の真意を問われると「井上は、自分を売らなきゃいけない試合だ。オレは見せ場のある選手なんで(この試合は)許されたんだろう。コミッションというより、プロモーターの本田氏、井上、メディアも含めた関係者が、この興行を現実的に見て判断したんだろう」とニュアンスをすり替えた。いずれにしろ反省は見せかけのものだったのだろう。 3月6日の会見からの豹変ぶりの理由を聞かれると、悪びれた様子もなく「記者会見の時は周りの人達が(井上は)リスペクトすべき人だと教えてくれたことがあのようになった」とサラリ。言い方を変えれば、周囲のスタッフから「反省モードで臨め!」と指令されていたわけである。だが、ビッグマッチを16日に控えて闘争モードに入った、今、優等生のままでいるのはメンタルのコントロールの意味でもよろしくないと判断したのだろう。。 ――今の態度のネリが本当のネリか? そう聞くとほんの少しだけニヤつき「そうだ。本当のネリは、彼をリスペクトしているが、恐れてはいない。彼をノックアウトする」とKO宣言をやってのけた。 これも一種の自己暗示だ。
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