「休み=寝る」の休日はもう卒業! 「攻めの休養」で疲れ知らずの体を手に入れよう
数年前、風邪薬のCMに「絶対に休めないあなたへ」というキャッチコピーがありました。現代の日本では、疲れていても休めない状態の人や疲れていることを周囲に言い出せない人も多いのかもしれません。実際、1999年に厚生省が就労者を対象におこなった疲労度の調査では「疲れている」と答えたのは全体の約6割だったのに対し、日本リカバリー協会がおこなった調査では、ここ数年は全体の約8割が疲労を抱えて生活しているという結果が出ているそうです。つまり、およそ25年の間に、疲れた日本人は約6割から約8割に増えていると考えられます。大多数の人が日常的に疲れているとは、なんとも深刻な状況ではないでしょうか。 この原因について、「日本は労働時間が長く、睡眠時間が短いからだ」と考える人もいることでしょう。たしかに、日本の睡眠時間はOECD加盟国の中で最下位ですが、労働時間は年間1607時間で、世界の平均である1752時間より少ないそうです。このことから、『休養学: あなたを疲れから救う』の著者・片野秀樹氏は「どうも日本人は、休みの日数が多いわりに、ちゃんと休めていないのではないか。あるいは、休養の取り方がうまくいっていないのではないか」(同書より)と述べます。同書では、これまで栄養や運動に比べて軽視されがちだった「疲労」と「休息」について科学的に解説するとともに、個々にとって最適な休み方を提案しています。 日本では従来、休養とは「何もしないこと」「単に寝ること」だと捉えられてきました。しかし、デジタル化などで世の中が加速度的に変化している今の時代、ただ体を休めるだけでは疲れを取り切るのは難しいものです。片野氏は理想の休養の取り方として、これまでの「活動→疲労→休養」という「守りの休養」から、日常にポジティブな負荷をかけて活力を高めることを加えた「攻めの休養」へと変えることを薦めます。 たとえば、ヨガやウォーキング、入浴などをおこなう「運動タイプ」、推し活や習い事など趣味嗜好を追求する「娯楽タイプ」、「部屋の模様替えをする」「旅行に行く」などの「転換タイプ」といったふうに、同書では活力を高めるのに適した「7つの休養モデル」が紹介されています。この7タイプは単独ではなく複数おこなうことで、疲労回復効果は2倍にも3倍にもなるといいます。自分にとってベストな方法を組み合わせて、日々の生活に取り入れていきたいですね。 このほか、上手な睡眠の取り方や、これから試したい新たな休み方などについても紹介されており、「休養」についての概念がガラリと変わりそうな同書。寝溜めをする、部屋でゴロゴロするといった休日は卒業して、これからは「攻めの休養」で疲労の溜まらない体を手に入れませんか? [文・鷺ノ宮やよい]