日本のお母さんは家事をやり過ぎ…日本人の僕が英・独で知った驚きの価値観「ドイツでは料理に“火を使う”のは、晩ご飯のときだけ」
シン・スタンダード#1
お金や教育、家事といった身近なことから、政治や環境問題などグローバルなジャンルにおいて、「日本において常識とは考えられていないこと」が、実は「世界の常識となっている」ことは意外と少なくない。 【画像】ドイツでは、お母さんが料理に「火を使う」のは、晩ご飯の時だけ⁉
ドイツ在住の日本人実業家であり、世界に精通する人気インスタグラマーが48例に及ぶ世界のシン常識をまとめた初の著書『シン・スタンダード』より一部抜粋、再構成してお届けする。
日本のお母さんは家事をやり過ぎ
イギリスでホームステイをした時、生まれて初めて日本以外の国の文化に触れた。イギリスのママたちは「日本のママ」にどんなイメージを持っているのだろうか? そんなことが気になったある夜、ご飯を食べながら聞いてみた。すると返ってきたのはこんな答えだった。 「世界中の人にとって日本のスシは特別よ。あと、アニメも最高。あ、でも……日本のお母さんは家事をやり過ぎね」 ここで「日本のお母さんは家事をやり過ぎ」という話題が唐突に出てきたことには驚いた。 しかし、後日ドイツでも、「日本のお母さんは家事をやり過ぎ」という話が出てきたのだ。 というのもドイツでは、お母さんが料理に「火を使う」のは、晩ご飯の時だけだという(一切使わない日もあるとか)。 朝ご飯は、冷たいパンに冷たい具材を各々がはさんで食べたり、フルーツやシリアルだったり、昼ご飯も、冷たいサンドイッチやフルーツを各々が持っていくだけ。 ちなみに、ホームステイをさせてもらったイギリスのその家庭では、掃除はしても月に1回か2回だった。 洗濯も、「バスタオルはかけていれば乾くから」と、週に1回くらいだった。 それに、食器洗いは、特大の容器に使い終わった食器たちを浸けておいて、使う時に使う人が使うものを洗う(浸け洗いで洗剤も最低限)というルールが敷かれていた。 これは、「清潔感」における日本の要求水準が、高いことも影響しているのかもしれない。 しかし、それだけで片付けていい問題なのだろうか。なぜなら、本当はやらなくていいほどの家事をわざわざやって、それで疲弊しているのなら…… 解決の糸口は「やめること」だから。 せめて、この文章を読む、あなたの家庭にだけでも「日本のお母さんは家事をやり過ぎ」という現実が伝わり、そして価値観に変容が起こることを祈っている。 お母さんの家事が減れば、その先にたくさんの良い未来が待っているはずだ。 例えば、洗濯や食器洗いが減れば、水の使用量も減り、汚水の量も減るわけだし、料理で火を使うことが減れば、ガスの使用量も減るわけだから、確実に環境にとっても良いことずくめである。 また、子育ての面で見ても、お母さんの家事を減らせれば、ある程度はお父さんや子どもがやらざるを得ないはず。 こうなればきっと、子どもの「自立」にも繋がると思う。 家事の基準を下げてみる。 これは実はお母さんが楽になるための施策というだけではなく、地球にも、家族のためにもなる、みんなに喜びを運ぶ施策なのだ。 文/谷口たかひさ 写真/shutterstock ---------- 谷口たかひさ(たにぐち たかひさ) 1988年大阪生まれ。日本の大学在学中に留学費用の工面のため10代ながらインターネットビジネス会社を起業し、イギリスのマンチェスター大学へ留学。卒業後、チェーンストアのエリアマネージャー、アフリカのギニアでの学校設立支援、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験。その後、社会の課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機の発信や日本では報道されない世界情勢にまつわる講演を開始。世界中から講演に呼ばれるようになり、日本では1年で515回、全都道府県での講演を達成。2021年には国連総会の司会とスピーチも務めた。趣味は旅と勉強で、訪れた国は約80ヵ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30個以上。 ----------