いま議論されている「税制改正大綱」とは?2016年度以降、税制はどうなる?
15年度税制改正大綱で見直されるポイントは?
12月に発表される「平成28年度税制改正大綱」の内容についてはこれから少しずつ明らかになってくるものと思われますが、15年度の税制改正大綱の中で検討事項とされたもの、改正の基本的考え方の中で示されていた16年度以降に改正される可能性のある項目をいくつか挙げてみます。 <所得税> ・控除、税率 15年度の大綱で「効果的・効率的に子育てを支援する観点、働き方の選択に対して中立的な税制を構築する観点を含め、社会・経済の構造変化に対応するための各種控除や税率構造の一体的な見直しを丁寧に検討する」とされ、政府税制調査会がこの春から社会構造変化の検証を行い、10月から具体的な議論に入っています。 ・年金課税 15年度の大綱で「拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する」とされています。 ・医療費控除 15年度の大綱で「セルフメディケーション(自己治療)の推進により医療費を削減する観点から、~略~ そのあり方を総合的に検討する」とされています。 厚生労働省は、セルフメディケーションに取り組む人が広く所得控除を受けられるよう、既存の医療費控除とは別に二つの所得控除制度の創設を要望しています。 1.医薬品を年間1万円以上購入した場合、その費用から1万円を差し引いた金額について最大10万円までを控除する。(医療費控除との選択適用) 2.がん検診、特定健診、予防接種、人間ドック等の費用が年間1万円以上かかった場合、最大10万円までを控除する。 <法人税> ・税率 15年度の改正で国税と地方税を合わせた実効税率が16年度に32.11%から31.33%に下がります。次の税制改正でも引下げを図る、としています。 一方、税率は下がりますが課税の対象を広げるために、租税特別措置の廃止や法人事業税の外形標準課税の拡大を検討する、としています。 <相続税・贈与税> ・個人事業者の事業承継 現状、事業用の土地については小規模宅地等の評価減の特例が設けられていて相続税が軽減されていますが、事業用資産についても軽減措置を検討する、とされています。 ・結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充 この制度の資金使途に「不妊治療費用」「出産費用」が含まれていますが、さらに「不妊治療費の医薬品代」「産前産後の母親の医療費、医薬品代」「母親の産後健診費用」を加えるよう、内閣府が要望を出しています。 <消費税>・軽減税率 15年度の大綱で「17年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進める」とされています。 <車体課税> ・自動車重量税 15年度の大綱で「車体課税の見直しについては、16年度以後の税制改正において具体的な結論を得る」とされており、国土交通省は事務コストのかかる補助金によるエコカー減税をやめ、税率の見直しによってエコカー減税の恒久化を要望しています。