日銀「マイナス金利解除」の時期 「3月か4月か」それぞれにあるマイナス要因
アメリカの金融政策との見合いもある ~マイナス金利解除に行きつけない場合も
山川)あとは賃金の状況を見極めるということと、何と言ってもアメリカの金融政策です。思った以上にアメリカの利下げが早い場合は、アメリカが利下げして、こちらが引き締めだと受け取られると、為替にかなり影響を与えます。そうなると「結局、マイナス金利解除まで行きつけなかった」という可能性も残るのです。 飯田)解除に行きつけないというのは、日本経済よりもアメリカが早めに下げてしまったことが……。 山川)マーケット関係者が気にしているのは為替の動きです。本来であれば、マイナス金利の解除は大した話ではありません。金融機関が日銀に預けている預金の一部分は、いままでペナルティのように「預けると金利を払わなければいけない」という状態でしたが、これを正常化するという話であって、大したことではありません。 飯田)本来であれば。 山川)ただ、「金融引き締めの入り口ではないか」と取られかねないのです。そのシグナルを送ったときに、「どのぐらい為替が円高に振れるか」をいちばん気にしている。それとアメリカの金融政策において利下げに転じる流れが重なってしまうと、為替の振れ幅が大きくなってしまいます。当然、アメリカの金融政策との見合いもあると思います。
タイミングと為替の振れ幅は誰もが気にしているところ
飯田)去年(2023年)の年末でしたか、FRBのパウエル議長がハト派的な発言をしたら、一気に10円ほど円高になりましたね。 山川)大きいですからね。我々も報道番組をやっていますが、1時間のなかで2~3円動くときもあります。みんなピリピリしている。また、エコノミストの見方が分かれていて、「瞬間的に円高になるけれど、すぐに戻る」と見る人もいれば、構造的なものを考えると「1ドル120円台ぐらいになってもおかしくない」など、両方の考えがあります。 飯田)いまの「1ドル=140円台後半の水準は安すぎる」と思っている人は、そう見るのですね。 山川)特に今年(2024年)は、新NISAで「外国株の投資信託と国内株と、どの割合にすべきか」と関心を持つ人も多い。海外の方に回していると、為替リスクがあるわけです。ですから円高になってしまうと、外国株で利益が出ても、為替でそれを損する可能性もある。タイミングと振れ幅はみんなが気にしているところです。 飯田)昨日の植田総裁の会見でも、発言の一部がまず報じられると、為替が1~2円動きました。 山川)おっしゃる通りで、あの発言のなかでも相当、為替が振れたのです。みんなピリピリしているのがよくわかりますね。