曇天模様の日本株、ここにきてひときわ光る「強い財務体質」を持つ「プロ厳選銘柄5選」を実名紹介
2024.3期の決算発表では、企業側による株主還元への積極スタンスが確認された。大半の企業が増配や自社株買いなどを計画しているだけでなく、金額も過去最高レベルの規模が続く見通しだ。引き続き株主還元を期待した銘柄選びが投資家から人気を集めるだろう。 【マンガ】「長者番付1位」になった「会社員」の「スゴすぎる投資術」の全容 もっとも、今25.3期の利益計画は慎重な内容が相次いでおり、市場の増益期待には及ばなかった。調査機関からも東証プライム上場企業の純利益は5年ぶりに減益へ落ち込む予想すら増えている。企業側が業績見通しに対して慎重ムードを漂わせる中では、今後の銘柄選びにも慎重スタンスが強まりそうだ。 こうした状況下では、景気動向に左右されにくい、強い財務体質を持つ企業には、従来以上に注目度が高まるだろう。現預金から有利子負債を差し引いた「ネットキャッシュ(純現金)」の保有額が多い企業は、収益を安定的に維持しやすい。 また、インフレが進行する中では資金管理の重要性も高まることから、株主還元においてもディフェンシブ性を発揮しやすい。企業業績の先行きに不透明感が漂う中、ひときわ光る投資対象として注目されそうだ。
日本カーボン(5302)
■株価(5月18日時点終値)5420円 配当利回り(予)3.69% 主力は製鋼用電炉で鉄スクラップを溶融する際に使用される黒鉛電極だ。売上高の大半を占める黒鉛電極は、中国の不動産不況による鋼材需要の低下し、余剰分が日本市場に流入することで厳しい市況にさらされている。 一方、ファインカーボン事業は、半導体需要の低迷リスクこそ残るが、一定の受注残を確保しており、業績が大幅に落ち込む可能性は低いと考える。特に注目すべきはSiC(炭化ケイ素)関連製品で、同社が開発した炭化ケイ素連続繊維「ハイニカロン」は、航空エンジンの部品性能を大幅に向上させる素材として重宝されている。今後は航空機需要の回復に伴い成長が期待されるほか、電気自動車向けパワー半導体の部材としても貢献が期待されよう。 高いネットキャッシュ比率を持つ同社は、安定した財務基盤を背景に株主還元にも積極的だ。足元の株価は直近高値から調整が進んではいるが、株主還元の余力からは下値硬直性が発揮されやすい水準とも考える。