ガザ出身医師が訴えるパレスチナの現状「私たちはガザ地区の再建を支援するために日本政府と国民に期待している」
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、イスラエル・パレスチナ問題に関するガザ出身医師の切実な訴えを紹介しました。 ◆ガザ出身医師が訴える日本への期待 イスラエルによるガザ攻撃が始まって1年。今なお連日多くの被害が出ているなか、パレスチナ人医師として初めてイスラエルの病院で働くことになったガザ地区出身のアブラエーシュ博士が来日。 10月4日に行われた会見では「私はこの難局をチャンスと捉えている。(一連の騒動が始まった)10月7日もまたチャンスだと考えている。そして、それは国際社会と偏見と加担の両方に対する以下の倫理観から希望の光となる好機」と語りました。 アブラエーシュ博士は、2009年のガザへの攻撃で3人の娘を失っています。しかし、復讐心や憎しみを持つことなくイスラエル人とパレスチナ人の共存の可能性を訴え続けていますが、それも現状では道半ば。「もし私の娘たちが最後の犠牲者となり、パレスチナ人とイスラエル人の間の平和への道となるのであれば、私はそれを受け入れると言った。しかし、悲しくつらいことに彼女たちは最後ではなかった」と嘆きます。 会見にはキャスターの堀潤も参加しており、「国際社会の主語は誰だと思いますか?」と質問をします。 すると、「法の上に誰も立つべきではない。国連やさまざまな人権団体、ICC(国際刑事裁判所)・ICJ(国際司法裁判所)・WHO(世界保健機関)などこれら全ての組織はどこもナンバーワンであるべきではない。日本という国、G7、G20、それが私のいう国際社会である」とアブラエーシュ博士。 さらには、「パレスチナ人の紛争や苦しみは障害を越え、スクリーンを通して見ている日本人にも伝わる。ただ見ているだけではなく、それについて話し、やめさせるべきだと声を上げ、政府やジャーナリストに伝えてほしい。認識することが重要であり、それに続いてパレスチナ人と日本政府への支援を送るという行動が重要。私たちはガザ地区の再建を支援するために日本政府と国民に期待しています」とメッセージを送っていました。 ◆日本ができることとは? この日、堀は仲間と運営する市民メディア「8bitnews」でイスラエルとパレスチナを巡る問題に関する特設サイトを公開。そこではパレスチナ人の声とともにイスラエル人の声も紹介しており、堀は「一般論として国際社会が何をするのかという話はもう十分。なぜなら機能していないから。(重要なのは)日本が何をするか。日本はイスラエル、中東各国に対しても特別な関係を築いてきた、きっと私たちだからできることが何かあるはず。それがなんなのかもっと知りたい」とこの問題に対する素直な思いを打ち明けます。 キャスターの豊崎由里絵は、アブラエーシュ博士の“日本という国も国際社会”という言葉に感銘を受けつつ、「(この問題に対して)メディアで伝えたり、デモをしている方が大勢いるが、徐々にそれも減ってきている。一方で(現地では)亡くなっている方の数はどんどん増えている。今まで頑張って活動してきた人にもっと活動してというのはもう限界。今はそれをやってこなかった一人ひとりが問われていると思う」と私見を述べます。 また、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは「日本から間接的に停戦を促したり、この状況を短期間で良くするのは残念ながら悲観的な状況にあると思う」と冷静に分析。そして、「イスラエル以外の国でこの状況に影響を及ぼすことができるのはアメリカだと思う」とも。 さらには、「11月の(アメリカ)大統領選挙で(イスラエルの)ネタニヤフ政権により厳しく言える政権が誕生する、といったことがアメリカ人ならできる気がするが、例えば、日本の選挙でガザがイシュー(論点)になって投票することはない。日本は日常のなかにそれを繋ぐインフラがまだ存在していない。意識、心のなかで知ること、感じ取ることが大事」と日本の課題を主張しました。