大阪府中央卸売市場にクリーン発電機が登場 ── 年間電力需要の半分供給
大阪府民の台所が、ひと足早くクリーンエネルギー改革──。大阪府中央卸売市場(茨木市)で9日、新タイプの燃料電池発電システム「ブルームエナジーサーバー」が運転を開始し、記念式典が行われた後、関係者らに公開された。燃料の天然ガスを燃やすことなく、天然ガスから化学反応で発電するのが特色。発電効率が高く環境にもやさしい分散型発電のメリットをアピールしている。
天然ガスを燃やすことなく化学反応で発電
この発電システムを開発設置したのは、ソフトバンクグループと米国発電設備メーカーブルームエナジーコーポレーションが共同出資するブルームエナジージャパン(本社・東京都港区、三輪茂基社長)。新しい分散型電源は、天然ガスを燃やしタービンを回して発電する従来の火力発電とは異なり、天然ガスを燃焼させることなく、化学反応で電気を生み出す。騒音や振動が少なく、発電効率が6割以上と高い。CO2排出量が火力発電比43%減と、環境にもやさしい。 国内での設置は4件目。出力規模は1・2MW(メガワット) で、年間を通じて市場の電力需要の約50%をまかなうことができる。ブルームエナジージャパンによると、1MWを超える同型燃料電池の本格運転は、日本で初めてという。 式典には、松井一郎府知事、三輪社長、来賓の大阪・神戸米国総領事館代表、環境省代表らが出席。孫正義ソフトバンク社長も祝辞を寄せた。松井知事らはテープカットに臨んだ後、設備を視察した。
クリーン発電拡大に大阪中小企業の技術を
松井知事は「2013 年、米ブルームエナジー社を訪問した際、このすぐれた発電システムに大阪の中小企業の技術が生かされていると聞いて以来、大阪で導入したいと考えていた」と経緯を報告。「大規模な発電設備や送電設備が要らないこの発電システムは、これからのエネルギーのベストミックスの中核となり得る。 需要拡大にはコスト削減が求められるが、大阪に部品工場を誘致してコスト削減に貢献し、大阪のエネルギー技術の高さを広くアピールしたい」と、エネルギー改革推進と中小企業再生の相乗効果を強調した。 三輪社長は東日本大震災を振り返り、「大規模集中発電は悪くはないが、完璧ではないことが分かった。中小規模の分散型で発電効率が高く環境にもやさしい発電システムの普及に努めていきたい」と話し、「この卸売市場は新幹線からも見えるので、新しい発電システムのショーケースとして注目してもらえれば」と訴えていた。詳しくはブルームエナジージャパンの公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)