松重豊と長谷川博己がタイ料理の注文でマウント合戦!?「孤独のグルメ Season2」での12年前の共演回は必見!
「腹が、減った...」街角に立ち尽くし、ライフがゼロになったような表情でそうつぶやく輸入雑貨商・井之頭五郎(松重豊)。店舗などの内装品調達を請け負い、あちこちの町に出かけ商談をする彼は、細身だが人並み外れて大きい胃袋を持ち、ランチタイムになると、空腹でたまらなくなって、近くの飲食店に駆け込んでいく。 【写真を見る】メニュー熟考の末に注文!井之頭五郎セレクトのタイ料理 ドラマ「孤独のグルメ」は、原作・久住昌之、漫画・谷口ジローによる同名コミックを映像化し、2012年に放送スタート。おいしそうな料理の映像と、松重豊の豪快な食べっぷりを写し出し、シーズン10まで制作される人気シリーズに成長。そして、10月からも特別編として「孤独のグルメ特別編 ドラマ24『それぞれの孤独のグルメ』」がテレビ東京で放送され、劇映画「孤独のグルメ」が来年1月に公開を控えている。 面白いのは、ドラマに出てくるレストランや食堂は実在の店舗であり、メニューも実際に出されている料理なのに、店長や従業員はフィクションの設定で俳優が演じていること。シーズン10の石田ひかりや松下由樹など、ドラマ主演級の大物が出てくることもある。シーズン2の第11話は珍しいパターンで、五郎と同じく食事に訪れた客の役で長谷川博己が特別出演していた。 第11話で五郎が訪れたのは、東京都の足立区にある北千住。大きい駅ビルができるなど、久しぶりに来た街の発展に驚きつつ、五郎は「うまい店」を物色して、あるタイ料理店へたどり着く。店のエスニックなインテリアやゾウの置物などが仕事の参考にもなりそうで、「一石二鳥だ」と考えて店内に入ると、中でランチを食べているのは女性ばかりで気後れしてしまう。しかし、そこにはひとりだけ先客の男性がいた。それが長谷川博己の演じる「鈴木」だという展開だ。 制作は2012年。その前年、34歳だった長谷川は異色の学園ドラマ「鈴木先生」で連続ドラマ初主演を果たしていた。同作もテレビ東京の制作なので、「孤独のグルメ」に鈴木というパロディ的なキャラクターで登場することになったようだ。ドラマのときと同じようなグレーのソフトジャケットを羽織って、縁が太くいかにも教師らしいメガネをかけている。 五郎は鈴木の隣の席に座り、鈴木が料理を注文するのを横目でチラチラ。その店には130種類ものメニューがあるので、どれを注文するべきなのか、五郎のように初めて入った人は迷ってしまう。鈴木も吟味に吟味を重ねてイカのタイバジル炒めなどを注文し、五郎はそのオーダーも参考に。ふたりは食いしん坊同士、通じ合うものがあって、お互いをさりげなくウォッチしながら、バラエティ豊かなタイ料理の中で正解のオーダーを探る。無言のまま目線だけを交わしながらマウントを取る様で、クスリと笑わせてくれる。 ちなみに店員役は「サブスク不倫」(2023年)などの佐津川愛美。松重と長谷川は、同時期に山﨑豊子原作の社会派サスペンスドラマ「運命の人」(2012年)でも共演していた。この後、ドラマ「デート~恋とはどんなものかしら~」(2015年)でも顔を合わせることになる。 長谷川はシェフ役などの印象はないが、NHK連続テレビ小説「まんぷく」(2018年)ではインスタントラーメンとカップラーメンの生みの親を演じ、その際にはラーメン好きであることを明かしていた。「孤独のグルメ」で見せた食いしん坊な表情も、ちょっと素が入っているようだ。 この後、朝ドラや大河ドラマ「八重の桜」(2013年)、「麒麟がくる」(2020~2021年)に出演し、最新作の主演ドラマ「アンチヒーロー」(2024年)ではアンチな弁護士役でまた違った演技を見せてくれるなど、いまや主演俳優として押しも押されぬ地位を築いた。そんな彼の12年前のゲスト出演の姿を見てみるのも面白いものだ。 文=小田慶子
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