【社説】応じない尹大統領、遅遅不進の捜査…もどかしさ感じる韓国国民
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨日、12・3戒厳事態内乱容疑捜査のための高位公職者犯罪捜査処の出頭要求に応じなかった。18日に続いて2回目であり、予想された状況だ。前日、オ・ドンフン公捜処長は国会で「午前10時に定められているが、もう少し待つ」と述べたが、これに先立ち尹大統領側は「捜査より弾劾審判手続きを先に考えている」という立場を明らかにした。しかし優先順位という弾劾審判は書類さえも出していない。結果的に公捜処は出頭しないのが明らかな被疑者を公開的に待つ格好となった。尹大統領は公捜処に弁護人選任届も出さず、クリスマスイブに漢南洞(ハンナムドン)官邸を訪れた牧師らとクリスマス礼拝をしたという。 一部では尹大統領に対する逮捕状請求など強制捜査の可能性にも言及されている。公捜処は「逮捕状は遠い話」とし、3回目の出頭要求を先にする方針を明らかにした。国民に大きな衝撃を与えた戒厳事態から3週以上も経過したが、その頂点にいる大統領に対する調査が進まない。現職大統領に対する捜査は慎重にするべきだが、他の被疑者の捜査と比べてもどかしさを感じるしかない。オ公捜処長は捜査の初期、尹大統領の出国禁止を指示し、「緊急逮捕も可能」と自信を見せた。検察・警察と競争的に戒厳の重要任務従事者を捜査した。しかし内乱の「首謀」容疑を受ける尹大統領に対する捜査は遅々として進まない。 検察と警察、公捜処が捜査に混線を起こした点も理解しがたい。文在寅(ムン・ジェイン)政権当時に適当に埋め合わせた公捜処設置法と検警捜査権調整関連法の隙間が国家災難的な状況で大きく広がった。共同捜査本部の構成である程度は整理されたが、依然として問題は多い。検察は尹大統領の捜査を公捜処と警察に渡したが、公捜処は判事・検事だけを起訴でき、大統領起訴権は検察にある。むしろ特検で捜査する方がうまくいくかもしれないが、すでに捜査が進行しているうえ、特検の発足までに時間がかかる点も考慮しなければいけない。こうした中、尹大統領側は戒厳当時の要人逮捕指示疑惑に関し、「逮捕の『逮』の字も話していない」と反論している。拘束された金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官は陳述を拒否しているという話も聞こえる。国民の立場ではもどかしさを感じるしかない。 いかなる捜査も遅滞するほど証拠隠滅と口合わせの可能性が高まるのは常識だ。それだけ正義は遅延され、歪んだりする。最高権力者の犯罪容疑に対する捜査であればなおさらだ。国民の不信感を払拭するには公捜処をはじめとする捜査機関がより迅速かつ明快に処理することが求められる。