伝統的な手の入れ墨残した先住民女性が死去 文化部が表彰へ/台湾
(台北中央社)南部・屏東県来義郷で、台湾原住民(先住民)族パイワン族に伝わる手の入れ墨を施していた李直英さんが12日に死去したことが分かった。享年91。文化部(文化省)が13日、明らかにした。李遠(りえん)文化部長(文化相)は哀悼の意を示し、原住民族の無形文化資産に重要な記録を残したとして李さんを表彰する方針を示した。 李さんは日本統治時代の1933(昭和8)年生まれ。2011年には屏東県政府が伝統的な手の入れ墨文化の保持者として認定していた。李部長は李さんについて、入れ墨を生涯にわたって保持して文化を伝承したとし、集落社会の階級倫理を維持して集落の文化を守ったとたたえた。 文化部によれば、入れ墨文化はパイワン族の伝統民俗文化で、集落の家族の起源や身分、地位、階級などを反映。図柄は本人と先祖との関係や自己同一性を表す。また河川や土地、ヘビ、太陽、人などの図柄はいずれも土地との関係性を示しており、パイワン族の伝統社会の階級倫理を解説しているという。 文化部では2023年に屏東県に対して経費を補助し、来義郷と泰武郷での手の入れ墨の保存維持プロジェクトを完成させた。今後は引き続き文化の伝承記録作業の支援を行い、貴重な原住民族の無形文化資産を永久的に受け継いで伝えるとしている。 (邱祖胤/編集:齊藤啓介)