菅前首相と麻生副総裁、自民総裁選は首相経験者2人によるキングメーカー争いの様相
周囲に出馬意欲を語っている河野太郎デジタル相(麻生派)に関しても、「麻生さんは『麻生派の候補』として河野氏の出馬を認める可能性もあるのでは」(党幹部)との見方も出ている。3年前の前回総裁選で、出馬した河野氏の後ろ盾だったのは菅氏。今回は、河野氏が麻生派に留まっている限り支援する考えはないとみられる。
■固まりを持つ2人
麻生派以外の派閥が解散を決め、今回は「派閥なき総裁選」となるため、情勢は読みにくい。その中で「大きな固まりを作って動かせるのは菅さんと麻生さんだけ」(自民ベテラン)との指摘がある。
菅氏には、無派閥議員を中心に菅シンパの中堅・若手がいる。かつては数十人規模の「菅グループ」と呼ばれた。さらに、頭文字を取って「HKT」と呼ばれる萩生田光一前政調会長(安倍派)、加藤氏、武田氏の3氏が菅氏を支えている。萩生田氏は安倍派の一部、武田氏は二階派に対し、一定の規模で議員を動かす影響力がある。
一方の麻生氏も、自身の意向で麻生派(55人)の一定数を動かすことができる。党幹部の一人は、総裁選は菅、麻生両氏の主導権争いになるとの見方を示すと同時に、「国民に『自民党は国会が終わったら政局ばかり』とみられるのでは」と懸念した。(田中一世)