NHKワンセグ訴訟、払ってきた受信料はどうなるの?
テレビ視聴できるワンセグ機能付きの携帯電話を持っているだけで、NHKへの受信料支払い義務があるかが争われた裁判の判決が先月、さいたま地裁であり、支払い義務はないとの判断が示されました。NHK側は控訴しており、まだ地裁段階ですが今後判決が確定したとして、もしワンセグ携帯だけの所持で受信料を払っていた場合、これは一体どうなるのでしょうか? 【図】何かと話題になる特殊法人、NHKってどんな団体?
受信料とはどんな性質のもの?
NHKはホームページで、公共放送であるNHKの役割を「“いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝える”こと」と紹介しています。その上で、運営財源を受信料としていることについて「税金でも広告収入でもなく、みなさまに公平に負担していただく受信料だからこそ、特定の利益や意向に左右されることなく、公共放送の役割を果たしていけると考えています」と説明しています。 受信料を徴収する根拠は、放送法第64条第1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」を挙げています。ただ、受信契約は世帯単位で行っており、一般家庭の場合、ワンセグ携帯電話を含め、複数台のテレビを所有している場合でも必要な受信契約は1件としています。
NHKは「受信設備の設置」と主張
NHKは以前から、テレビに加え、ワンセグ携帯電話やカーナビも放送法上の「受信設備」に当たると主張していました。また、今回の裁判でも原告の男性がワンセグ携帯電話を「設置」ではなく「携帯しているにすぎない」と訴えていたことから、訴訟ではこの「受信設備」の点は争われていないようです。このことから、今回の判決のポイントは条文の「設置」という文言の解釈となりました。 放送法2条では条文の用語等を定義しており、この中で「設置」と「携帯」の文言を使い分けています。同条14号では「『移動受信用地上基幹放送』とは、自動車その他の陸上を移動するものに設置して使用し、又は携帯して使用するための受信設備により受信されることを目的とする基幹放送であつて、衛星基幹放送以外のものをいう」と規定しています。