【中学受験】わからない問題を「すぐ質問する子」がハマる落とし穴
小学6年生の中学受験生親子は受験本番を目前にラストスパートに勤しむ12月。一方で、他の学年の親子には「塾選び」や「塾の新学年準備」のシーズンを迎えている。新学年をスムーズに発進するべく、今のうちに整えておきたいスケジュールの立て方や、算数・国語・理科・社会の“まずい学習癖”の直し方を解説する。(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田隆之) 著者プロフィールを見る ● 新学年目前の12月、1月 やっておきたい準備と心構え 中学受験の塾では、2月が新学期となるところがほとんどです。進級すると、親や講師は「いよいよ受験学年になった!」という気合が入る一方で、なかなかスイッチの切り替えが上手くいかない子も出てきます。また、クラスメイトたちが本腰を入れて勉強するようになると、一気に成績やクラスを落としてしまうこともあります。そうならないために、12月~1月にしておきたい準備や心構えをお伝えします。 まず、1週間のスケジュールを見直ししましょう。学年が上がると通塾回数が増えたり、帰宅時間が遅くなったりする塾が多くなります。ざっくりで構いませんので、1週間の学習計画を立てましょう。 (1)通塾曜日はいつ? (2)塾の宿題はいつやる? (3)模試の対策や復習はいつやる? などを考えてみるくらいで良いでしょう。 実際に始まってみてから、少しずつ調整していくのがベターです。計画を立てることが目的ではなく、無理のないペース配分を探ることが大切です。 また、親が肩に力を入れ過ぎてしまうことも考え物。受験学年になったからといってお子さんへの要求水準を高くしすぎると、親子喧嘩の元になります。焦らずゆっくりと進めて行きましょう。
● 「入試問題」を入手 親も目を通して“研究” 次に、おすすめするのは「志望校の入試問題」を入手し、目を通しておくことです。 入試問題は、大手塾のホームページから手に入れることが可能です。今の段階で解く必要は全くないものの、どのような問題が出題されているかを確認することで、学習の力の入れどころが分かってきます。 過去に私が行った生徒へのアドバイスを例に挙げて紹介します。 「A君の志望校は、算数の計算の問題数が多く、配点も非常に高いね。計算力をしっかり付けておくとかなり有利になるから、毎日の計算はしっかりとやろう」 「Bさんの受ける学校の国語の出題は、記述がほとんどだ。しかも、解答欄の枠も大きいからたくさんの量を書かなくてはいけないね。模試のやり直しも、記述の部分は丁寧にやろうね」 「Cさんが目標としている学校の配点の特徴は、4教科同一配点だ。好きな教科ばかり勉強するのではなく、バランス良い勉強を心掛けよう」 「D君は、読書習慣がついていて物語文が超得意だね。模試の偏差値では遠いように思うけど、この学校は物語文しか出題されないんだ。武器を持っているのは、中学受験では大きいことだよ。興味が持てそうだったら、お家の人に相談して、春に見学に行ってみれば?」 中学受験で合格に近づくには、戦略と戦術が非常に大事です。全部を完璧に学習できるのは、ほんの一部の受験生なので、多くの子どもにとって力の入れどころを示してあげることは非常に有効です。「小6になったらから~」ではなく、具体的な会話を通して少しずつ受験生へと変わっていくのです。 親御さんも入試問題を一緒に見てみることをおすすめします。「こんな問題、我が子に解けるのだろうか?」と心配するのではなく、「こんな問題を解けるようになるのだったら、中学受験の勉強には意義がある」というプラスの観点で見て、その気持ちをお子さんに伝えてあげると、毎日の学習の励みにもなると思います。