「2ポイントの減点。それならやろう」“禁止技”バックフリップを使用、話題のシャオ・イム・ファに聞いた真意「自己流は絶対にダメ」《独占》
モントリオール世界選手権では、SP19位から総合3位へと驚異的な逆転劇を見せたフランスのアダム・シャオ・イム・ファ。ニューヨークでブノワ・リショーと振付をしていた彼が、NumberWebの独占取材に応じた。 【写真】「自己流は絶対にダメ」世界選手権でシャオ・イム・ファが“禁止技”バックフリップを決める瞬間を複数アングルから激写!あのボナリーが見せた片足バックフリップの貴重写真も。この記事の写真を見る。 GP2試合を連勝し、世界選手権でも優勝候補の一人だったシャオ・イム・ファ。その彼が世界選手権のSPで2度ミスし、19位スタートになったのは予想外のことだった。プレッシャーが大きすぎたのだろうか。 「SPもフリーも、滑る前に感じたプレッシャーは同じでした。GPファイナルで感じたようなストレスはなかったのですが、攻める気持ちが十分でなかったのかもしれません。SPの後とても失望して、自分に腹をたてていました。フリーでは、とにかくできることを全てやるということに集中しました」
バックフリップを決意したのは「跳ぶ12秒前」
フリーではコレオシークエンスの部分で、禁止技のバックフリップを入れた。バックフリップをここで見せるといつ決めたのだろうか? 「実際に跳ぶ12秒前くらいです(笑)。フライング・チェンジフット・コンビネーションスピンの後くらいに。良い演技ができたし体調も良く、バックフリップを入れたらいいかな、と。それまでは全然考えていなくて、良い演技をしたいとしか思っていなかった。でもこのプログラムはバックフリップを入れたらさらに良くなると思ったんです」 観客たちからは熱狂的な歓声と拍手を受けたものの、ジャッジからは2ポイントの減点を受けた。それでもフリー206.90でイリア・マリニンに次いで2位。総合でマリニン、鍵山優真に次いで3位と、SPから実に16人抜きを果たした。
なぜ今季、あえて禁止技に挑んだのか?
シャオ・イム・ファがバックフリップを試合で見せたのは、上海杯、ニース杯、ヨーロッパ選手権に続いて4度目のことだ。今季あえて禁止技を入れることに決めた経緯は、何だったのか。 「初めて習ったのは昨年の5月で、実は日本のアイスショーでSPを滑っていた時に、バックフリップを入れたらかっこいいかもと思いついたんです。何人かのジャッジに聞いて回って、試合でバックフリップをやったらどんな減点を受けるのか、失格になるのか確認しました。2ポイントの減点だけだと聞いて、それならやろうと思ったんです」 アイスショーでバックフリップを演じるスケーターのほとんどは、過去に体操をやっていた経験がある。だがシャオ・イム・ファはそうではないのだという。 「僕のコーチが体操の経験があり、氷の上でもバックフリップをやっていた。その彼から習ったんです。危なくないように最初はフロアで練習をして、それを2週間毎日やった。ハーネスとヘルメットをつけて、段階をふんでやりました。氷の上に移ってからは最初の日は怖くてできなかった。不安だったらやるなと言われていたので。でも次の日は自信がついたのでやってみようと思ったんです」 結局、氷の上では2日間でマスターしたという。
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