アフラック生命保険流!人的資本経営に向けた、アジャイル型の人事データ整備・活用とは
最初から完璧を目指さない。アジャイルでデータのダッシュボード改善を繰り返す
――具体的にはどのようにしてデータ整備を進めたのでしょうか。 穴沢:性別や年齢、勤続年数などの社員の基本データは、それまで、現場から依頼されるたびに人事でデータを作成し、提供する運用でした。 データ整備にあたってはまず、人財に関する基本データを集約し、可視化できるダッシュボード(HCMダッシュボード)をつくりました。性別や年齢・勤続年数・入社退職実績などの基本データ、人件費予実・人員数予実などの人員管理関係データ、そして時間外労働・有給休暇・出社率などの働き方関連データを一元的に集約し、適時適切に活用できる環境を整備していったのです。 当然ながら、一気にすべてのデータが整ったわけではありません。心がけたのは、最初に完璧なものをつくろうとしないこと。まずは利用者のペインポイントを解消できるアウトプットを作って実際に使ってもらい、フィードバックをもらいながら改善するアジャイル型の進め方を心掛けました。実際に、基本データが見られるダッシュボードは、着手から約3ヵ月で初期リリースし、細かなところまで意見をもらいながら毎月のように改善を繰り返しています。
伊藤:初期リリース以降、私自身がヘビーユーザーになることを意識し、積極的にダッシュボードを触ってきました。「どこを触ればいいのかわかりづらい」「この色だと見づらいのではないか」など、数多くのフィードバックも行っています。 穴沢:こうしたユーザーの声を基に、今も改善を続けています。当社はアジャイル型の働き方が浸透しているので、60点のものでもリリースして改善していこうというマインドがあります。まずはユーザーの声を聞くことが大切です。 伊藤:ダッシュボードをつくることは、あくまで手段です。真の目的は、人財マネジメントがうまくいっているのかをモニタリングしたり、現場のマネジメントの課題を把握したりすることにあります。 いくら良いシステムをつくっても、使われなければ意味がありません。そのため、マーケットインでなくてはならないと考えていました。「良いものをつくったから使ってください」ではなくて、「使ってもらうために感想を教えてください」と声をかける。ユーザーの声を集めて、改善していく姿勢を何よりも大切にしました。 穴沢:私たち人財テクノロジー課でも、現場から「こういうダッシュボードが欲しい」と言われたときに、“Why”を意識して問うようにしていました。 相手が欲しがるものをそのまま作るのは簡単です。しかし、「なぜ、そのデータが欲しいのか」「なぜ、そういった作業が必要なのか」がわかれば、さらに効率的で、使い勝手の良いシステムを提供することができます。要望の裏に何が隠されているのかを確認しながら対話すること、データ活用のためのコンサルティングをすることが大事だと捉えています。