台湾の漫画作品、仏文学賞受賞 作者の游さん「世界に知らせたい」
(台北、パリ中央社)フランスのギメ東洋美術館が主催する「エミール・ギメ アジア文学賞」で、台東大学児童文学研究所の游珮芸所長とイラストレーターの周見信さんが手掛けた漫画「台湾の少年」が、今年新設されたグラフィックノベル部門の受賞作品に選ばれた。2月29日に授賞式が行われ、游所長は「世界に台湾の物語を知ってもらいたい」とあいさつした。 同作品は日本統治時代の台湾で生まれ、戦後戒厳令下で白色テロの被害者となった蔡焜霖(さいこんりん)氏を主人公にし、民主化の過程など台湾の近現代史を描いた。すでに日本語やフランス語、アラビア語などに翻訳出版されている。 文化部(文化省)によると、游所長は授賞式で、作品は蔡氏が白色テロの被害者だったから作ったわけではなく、彼が人生で経験したことが若者の手本となると感じ、彼の物語を知ってもらいたいと思ったからだと述べたという。 游所長は受賞後、中央社の取材に対し「とても幸運に思う」と喜びを語った上で、訪仏後には10社以上のメディアから取材を受けたことに触れ「これほど多くの外国メディアが作品に目を通してくれたことに驚いた」と話した。 また台湾の民主主義は30~40年かけ、相対的に見て平和に成熟したとして「誇りに値する」と強調。作品に「台湾アイデンティティー」の要素が含まれていることに言及し、読者に台湾と中国の関係や民主化の難しさ、大切さに気付いてもらいたいと期待を寄せた。 (王宝児、曽婷瑄/編集:齊藤啓介)