『新空港占拠』第1話にちりばめられた気になるポイント 武蔵にとって“因縁の事件”がカギ?
通報を受けて駆けつけた先で、助け出した女性に注射針を刺されて拉致されてしまう武蔵三郎(櫻井翔)。トラックの中で目を覚ますと、隣には同じように拉致された姉で県議会議員の二葉(奥貫薫)の姿があった。1人が連れて行かれた場所は、神奈川県初の国際空港として開港したばかりの「かながわ新空港」。そこはすでに、“獣”の面を被った武装集団によって占拠されていたのである。 【写真】自身の正体を明かした駿河(宮本茉由) 2023年1月クールに放送された『大病院占拠』(日本テレビ系)の続編となる『新空港占拠』(日本テレビ系)が1月13日にスタートした。前作では万全のセキュリティを誇る界星堂病院が“鬼”たちによって占拠され、病院の地下にある研究施設で進められていたとある研究と、それによってもたらされた罪が暴かれていったわけだが、今回武蔵が対峙する相手は“獣”。例によってまだその目的は不明だが、続編の舞台=空港という時点でますます『ダイ・ハード』感は強くなる。序盤から格闘シーンが見られ、占拠現場に巻き込まれる羽目となり、しっかりと爆発にも巻き込まれる。やはり武蔵三郎=ジョン・マクレーンは今回も健在というわけだ。 武装集団を演じているキャストは今回もまた明らかにされていない。“十二支”になぞらえた獣の面を被った彼ら10人の男女比は、声を聞くかぎりはおそらく半々で、“ねずみ”と“いぬ”はそこに含まれていない。その可能性が高いと思われた2名(武蔵を拉致した2人組である)は早々に殺害されるわけだが、おそらく警察内部や人質など、限りなく近いところに紛れているものと推測できる。ちなみに前作では第5話の時点で全員が鬼の面を外し、以後は素顔をさらけ出したまま物語が進行していった。今回も早速第1話から、前作では情報分析官として武蔵をサポートした駿河(宮本茉由)が“蛇”として獣の一味に加わっていることが判明。残りの9名が明かされたのち、彼ら獣たちの目的が描かれていくのだろう。 そしておそらく今作で最も重要なカギとなるのは、武蔵にとっての“因縁の事件”。30年前のクリスマスイブに市役所の職員だった兄の健一が失踪し、そのまま捜査は打ち切りになったと、今回も指揮本部を任された和泉(ソニン)は説明している。武蔵と二葉が拉致され、二葉はその事件の真相をエサにして呼びつけられた以上、まったく無関係というわけではないはずだ。健一は昭和44年生まれなので、昭和47年生まれの二葉よりも3つ上。生きていれば54歳ということになるが、現時点の相関図では年齢が合致する登場人物は見受けられない。獣たちのなかにいる可能性を含めて注視しておく必要がある。 前作では初回からいたるところに伏線が張り巡らされ、それらが終盤の展開に大きく関わっていたことを踏まえれば、第1話からやたらと細かいところに目がいってしまうのは仕方あるまい。空港のモニターで流れていたニュース(前作では第1話に登場したニュースがすべての発端ともいえる重要な事象に関わるものであった)もそのひとつで、北見茂という衆議院議員が保釈中に逃亡したと報じられていた。その北見は前作の第1話、県知事の長門(筒井真理子)と播磨(津田寛治)の会話のなかで名前が出てきた人物だ。 また、界星堂病院から別の病院に移って心臓外科医として働く裕子(比嘉愛未)が巻き込まれる病院内での忖度に、駐車場で彼女の前に現れる謎の男(ジェシー)。そして終盤で人質たちがVIP用のラウンジに連れて行かれたシーンでは、そこに足を踏み入れた空港の社長・天童(黒沢あすか)と秘書の宇和島(濱津隆之)がなにやら意味深な会話をしている。前作でのシェルター付き院長室のような、あるいは地下室のような秘密が隠されているということかもしれない。どこまで前作と同じ“パターン”で進められるかはわからないが、まだ何も見えてこない以上は、このパターンに則って観ていくのが適切であろう。
久保田和馬