「なんで雪が降っても転ばないの?」他県民驚き…雪国・長野 凍った路面の歩き方、3つのポイントとは
冬本番を迎えた。13日から全国各地で大学共通テストを迎える中で、降雪予報が出ている地域もある。雪が降ると、昔から県外に住む知人に「長野の人って何で雪が降っても転ばないの」と驚かれたことを思い出す。首都圏で積雪があると、歩道で転ぶ人の映像や写真をニュースでよく見る。転びにくいのは決して長野県民だけの特殊能力ではなく、何か要因があるはず-そう思って安全に冬の道を歩く方法を調べてみた。 (中島瑞穂) 【画像】雪用の靴を持っていない人にもこんな便利グッズが
そもそも、なぜ雪道や凍った路面で転ぶのか。まずは健康づくりや健康増進に関する研究をし、歩き方に詳しい松本大学人間健康学部の根本賢一学部長に話を聞いた。
「普段、人は歩く時に片方の足のかかとから地面に下ろします。その後、足裏の小指側の面から接地して、最後は指で地面を蹴り出します。雪道や凍った路面で普段の歩き方をすると、かかとだけでは接地面積が小さく、雪や氷でさらに摩擦力が小さくなり、滑りやすくなってしまいます。また、いつもと同じような歩幅で歩いていると、重心が動いて、体のバランスが崩れやすくなります」。つまり、雪や氷の上だと普段の歩き方は滑りやすいというのだ。
小さな歩幅、足裏全体を使う、重心を前に
それではどんな歩き方が良いのか。根本さんは3つのポイントを挙げた。 ・歩幅を小さく ・足裏全体を使う ・重心を前にして腕はあまり振らない
「歩幅を狭くし、足裏全体を使って歩きます。そうすることで雪道や凍った路面に対する摩擦力を大きくし、滑りにくくすることができます」。体のバランスを崩さないようにする工夫も必要だという。「重心は前に置き、腕はあまり振らない方がいいでしょう。ペンギンのような歩き方ですね。3つの要素のどれか一つでも欠けると、体重を支えるバランスが崩れ、転倒してしまいます」。着物を着て草履を履くと、自然と歩幅が小さくなり足裏全体を使うことになる。まさにこの歩き方が冬の道に適していた。
雪国の人は幼い頃から雪道仕様の歩き方を体得?
それでは、なぜ積雪の多い地域では転ぶ人をあまり見ないのか。根本さんは「学術論文で見たことがないので、想像にはなりますが」と前置きした上で、「長野の人は小さい頃に何度か転んだ経験があり、誰に教えられるわけでもなく身に付いたのではないでしょうか」と分析した。埼玉育ちの先輩は、就職して長野に住んでから雪道での歩き方を学んだと話していた。雪国の人たちは、幼い頃から積雪のある環境で育っている。気が付かないうちに体得していたのかもしれない。