FRB議長とトレーダーの緊張緩和、リスク選好で資産価格上昇
(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のタカ派的な発言にウォール街がおびえると警戒していた市場参加者にとって、予想外の8日終了週となった。
議長が議会証言を行う中、債券やコモディティー、株式全般の頑強な底堅さ、そして暗号資産(仮想通貨)の急上昇が取引環境を決定づけた。
パウエル議長が利下げスケジュールを明確化することはほぼなかったが、債券と商品、株式に投資する上場投資信託(ETF)「RPARリスクパリティー」は、今年最高の上昇を見せた。コーポレートクレジットに連動するETFも同様に好調だった。
大型ハイテク株の影響を薄めたS&P500種株価指数均等加重型(イコールウエート)は長らく苦戦を強いられてきたが、2022年1月以来の最高値更新となった。
このような市場の動きは、パウエル議長が経済を軌道に乗せながらインフレ抑制に成功する兆しが見えて以来、議長とトレーダーとの間の緊張緩和が進んでいることを反映している。
2日間にわたる議会証言で、パウエル議長は資産価格の上昇を気にしているようなそぶりは見せなかったが、急ピッチの資産値上がりは、経済から過剰な資金を吸収するため金融引き締めを十分維持するという議長の目標に反していることはほぼ間違いない。
CBOEグローバル・マーケッツのデリバティブ(金融派生商品)市場インテリジェンス責任者マンディー・シュ氏は、「パウエル議長は台本に忠実で、連邦準備制度が利下げの可能性に対して慎重なアプローチをとっているという市場が求めていたものを示した」と指摘。その上で「議長がタカ派的な発言をしなかったこととトーンを変えなかったことが、強気のサインだった」と述べた。
RPARリスクパリティーETFは市場環境を問わず安定した利益を生み出すよう設計されており、昨年12月以来最良の週となる1.4%上昇を記録。S&P500種のイコールウエートは5日間で1%近く上昇した。