「息子がミルクを飲まない」その後難病と判明 1歳7ヶ月で亡くなり…「1人じゃないことを忘れないで」発信を続ける天使ママに話を聞いた
先の見えない不安
最初の病院での入院中、息子さんが起きていることはほとんどありませんでした。 起こしていること自体が心臓に負担になってしまうからでした。毎日洋服やタオルの替えを持っていき、息子にたくさん話しかけたり、なでたりしてちむにーさんは過ごしていました。 2つ目の病院では、補助人工心臓を装着し一般床へ。一般床では入院しているというより「暮らしている」感覚に近かったそうです。補助人工心臓はチューブと機械がつながっているため、行動範囲が半径1メートルほどに限られます。そして心臓を移植するまでの先の見えない長期入院でした。 たくさんの検査やリハビリがあったそうですが、なるべく病室を家のように感じながら息子さんと過ごすのを心がけていたちむにーさん。医療スタッフの方々もそのように配慮してくれました。穏やかに息子さんだけと向き合う時間が取れたのは、ちむにーさんにとってとても尊いことでした。 コロナ禍での入院だったということもあり、大変なこともたくさんありました。 「面会時間がとても短いこと、私たち両親が一緒に面会できないこと、親族に会わせてあげられないことです。いつ容態が悪化するか分からない、どのくらい息子に残された時間があるのか分からないなか、家族で過ごす時間が少なかったのは本当に残念でした」と当時の状況を教えてくれました。 「そしてもう一つは、コロナ禍により移植医療が停滞してしまっている状況だったこと。小児用補助人工心臓(エクスコア)はどこの病院にもあるわけでなく、台数も稼動施設も限られるもの。息子が入院した当初、全台数が埋まってしまっている状態で、それは移植がまったく進んでいないということ。エクスコアは何年も装着されることを想定した機械ではありません。長く装着すればするほど当然リスクも上がっていきます。息子もそのリスクで命を落としたわけですが、エクスコアの空きが出るということは移植までたどり着いた、もしくは誰かの尊い命が亡くなってしまったということでもあります。コロナ禍により移植が進まずに亡くなった子たち、エクスコアを装着できずに亡くなった子たち…自分たちではどうしようもない状況のなかで常に生と死と直面し続けていることが辛く悲しいことでした」