「集団的自衛権」容認の閣議決定から10年 安保法制の違憲訴え続けるシンポ開催
政府が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行なった日から7月1日でちょうど10年となったことを受けて同日、「閣議決定10年 それでも安保法制は違憲だ」と訴えるシンポジウムが東京・千代田区の弁護士会館で開かれた。 それまでの内閣が「憲法上許されない」としてきた集団的自衛権の行使を、安倍晋三首相(当時)率いる内閣が認める決定をしたのは2014年7月1日のことだ。これに基づき翌15年の国会に安全保障法制を改変する法案が提出、強行採決された末に15年9月、安保法制が成立した。 今回のシンポジウムは、これまで東京・有楽町駅前で100回にわたり安保法制の廃止を求める街頭宣伝活動を重ねてきた第二東京弁護士会が主催した。パネリストとして、元最高裁判事の濱田邦夫さん、元内閣法制局長官の宮﨑礼壹さん、慶応義塾大学名誉教授の小林節さん、学習院大学大学院教授の青井未帆さん、弁護士で安保法制違憲訴訟の会の伊藤真さん、日本弁護士連合会憲法問題対策本部副本部長の山岸良太さんの6人が登壇。①安保法制はなぜ違憲か、②安保法廃止に向けてどのように動いていくのか、という2点を中心に議論を交わした。 まず①については、宮﨑さんが「憲法9条1項は、戦争や武力行使は『国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と書いており、他国の武力紛争に介入する、集団的自衛権は明文的に憲法に反する」と指摘。「集団的自衛権は無理だというのは、長年の間に確立した日本の憲法解釈だ」と強調した。 ②については濱田さんが「国民が政府を選ぶ権利、選挙権を行使して、こうした政権を代える以外に方法はない」と発言。これに賛同する登壇者が多く、参加者も含めて、今後も安保法制の廃止を求めて運動を続けていくことが、改めてこの場で確認された。
竪場勝司・ライター