思わず「ただいま」と言いたくなる居心地の良さ 八丈島生まれの大将が作る沖縄料理と島料理を堪能 吉祥寺駅「浜やん」
【鉄ドル・伊藤桃 “ぐう渋”居酒屋の旅】 ざあざあと雨が降る、とある平日の夜。私は悪天候に少々参りながら、東京・吉祥寺から徒歩約5分の「浜やん」へと向かっていました。東急の裏路地にある階段を降りると、ホールのお姉さんがにっこり「いらっしゃい、大変な雨ですね」と声をかけて、ぬれた傘を受け取ってくれます。まるで「ただいま」と言いたくなるような居心地の良さ。それが「浜やん」の魅力のひとつです。 1977年開業、お店を構えてすでに約半世紀。八丈島で生まれ、沖縄で育った大将がお店を切り盛りする、島料理を堪能できる「浜やん」。島寿司、くさやや明日葉などの八丈島名物、そして海ぶどうやチャンプルーといった沖縄料理と島料理を堪能できます。 さらにお酒のラインアップがたまらない。八丈島の隣の青ヶ島だけで造られている幻の焼酎「青酎」があるじゃないですか。「島流し」「情け嶋」など八丈島焼酎もあります。島焼酎をたしなみつつ、明日葉の天ぷら、ちょいと珍しい明日葉の茎を昆布と煮込んだ昆布煮、そして漬けの効いた島寿司をいただく…まるで、離島に来たような味わいがありました。 「浜やん」の居心地の良さを作っているのは、大将の明るい人柄。一見さんの私たちにも、常連らしきお客さんたちにも分け隔てなく気にかけてくれます。おいしいご飯と酒に、温かい時間。雨はやまねども心はからりと晴れた帰り道でした。 「浜やん」は東京都武蔵野市吉祥寺本町2の8の1 早川ビルB1F(0422・22・0422)。 ■伊藤桃(いとう・もも) 鉄道アイドル、タレント。3月11日生まれ、青森県出身。青山学院大学文学部卒業。JR全線完乗した乗り鉄。渋い居酒屋めぐりも趣味。FM狛江「伊藤桃の小田急全駅ものがたり」(毎月第3、5日曜)に出演。ヴィレッジヴァンガードサイトでコラム連載中。著書に「小田急全駅ものがたり」「桃のふわり鉄道旅」。頑張る居酒屋をインスタグラムでも応援中だ。