カキ養殖は江戸時代から 宮城・石巻市の世界のカキ王が画期的な養殖を考案
khb東日本放送
28日から宮城県産生食用カキの出荷が始まります。宮城県の水揚げ量は広島県に次いで2位、全国シェアは15.5%を占めています。
全国有数のカキの生産県となった宮城県ですが、日本でのカキ養殖の歴史は江戸時代までさかのぼります。 当時は干潟に小石を並べてカキを付着させ成育を待って収獲する石まき式や、竹や木の棒に稚貝を付着させて干潟に立てるひび建式という養殖法などが一般的でした。 ただ、この方法では貝が潮に流されたり、棒の上下で生育具合にばらつきが出たりと生産性の低さが課題となっていました。 そこで、新たな養殖技術を考案したのが石巻市でもカキの研究をしていて、後に世界のカキ王と呼ばれることになる宮城新昌さんです。 宮城さんは1925年、大正14年にいかだからロープで稚貝を吊るして成長させる垂下式という養殖法を開発しました。 沖合や深い海中でもカキを育てることができるため、大量生産が可能になりました。 宮城さんには「カキを豆腐のように誰でも手軽に食べられるようにしたい」という思いがあり、この画期的な養殖法について特許を取りませんでした。 研究だけではなく優しい人柄も、世界のカキ王と呼ばれる理由なのかもしれません。 今では世界の食用カキのルーツは石巻にあると言われるようになりましたが、実際に石巻にルーツを持つと言われる世界のカキの80%が石巻にルーツを持つと言われています。 1960年代後半にフランスでカキの大量死があった際には、石巻市万石浦の種ガキが送られました。それ以来、フランスで流通するカキの多くは石巻由来のカキになっています。 東日本大震災の津波で宮城のカキが壊滅的な被害を受けた時には、かつて日本に助けてもらった恩返しとしてフランスからロープやブイなどの資材が届きました。 石巻とフランス、遠く離れていてもカキが結んだ絆が続いていたことに驚きました。
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