鳥取にビーントゥバーチョコレート専門店 社長自ら未来に残せるものを
大江ノ郷自然牧場が経営する大江ノ郷ヴィレッジ(八頭町)1階に11月8日、ビーントゥバーチョコレート専門店「CIEL CRAFT CHOCOLATE(シエル・クラフト・チョコレート)」がオープンした。(鳥取経済新聞) 【写真】「CIEL CRAFT CHOCOLATE TOTTORI」の店頭 大江ノ郷ヴィレッジには、同牧場生産の平飼い卵「天美卵(てんびらん)」を使ったスイーツや土産品を扱うショップ、自家製酵母パンの販売、釜玉うどん専門店・レストランなどの店がそろっており、食の臨場感や食の安全性を伝えるため作り手の顔が見えるようにガラス張りに設計しているのが特徴。今回新たに加わった同店もチョコレート作りを手がけるラボを併設し、カカオ豆の焙煎(ばいせん)から包装まで全ての製造過程を間近で見ることができる。 コンセプトは「空はつながっている」。店頭や商品パッケージも鳥取の空の色に合わせ、少し淡い水色を採用。「世界のカカオ豆農園と鳥取が空でつながっている」「世界各地を旅するように個性豊かなチョコレートを楽しんでほしい」などの思いを込めているという。広報担当の高木寛子さんは「カカオ豆は開発途上国が多く、過酷な労働環境などがある。今回の立ち上げに当たっては微力ながら生産国に少しでも支援ができればという思いがある」と話す。 商品ラインアップは9カ国のカカオ豆から作ったチョコレートを選んで楽しめる「旅するチョコレートタブレット」(各1,512円、ミニサイズ各756円)、ペルー・ベトナム・ガーナなど産地で異なる香りや味わいを楽しめる「旅するボンボンショコラ」(4個入り1,960円、8個入り2,592円)、同牧場で育てた平飼い卵「天美卵」を使った「シエルショコラテリーヌ(ダーク・ラテ)」(2,376円)、ナッツやドライフルーツを飾り付けた「マンディアン」(ビター・ミルク2,160円、ホワイト1,944円)などをそろえる。 「チョコレート工場に憧れがあった」と話すのは同牧場を経営する「ひよこカンパニー」の小原利一郎社長。10年ほど前からチョコレートを作りたいという思いはあったが、大きな工場で作るイメージもあり、機械も知識もないので憧れのままで終わっていたという。そうした中、たまたまビーントゥバーを始めた人のニュースを見て「自分で豆からできるんだ」と可能性を感じたことが一つのきかっけになったという。 それからも技術や知識がないことで7、8年足踏みをしていたが、知り合いの北海道にある牧場がビーントゥバーチョコレートを始めたことを知り、「自分でもできる」という確信へ。60歳になる節目に「最後は未来に残せるものを自分の手で作りたい」という思いと重なり、各地のチョコレート店の視察、独学での試作品作りなどして試行錯誤を重ね、約1年で開店することになったという。 現在、製造するのは小原社長とスタッフ1人の2人体制。小原社長は「国ごとにカカオ豆の形・色・大きさ・油分など違いがあり、それぞれ工程も異なる。味も自然のフレーバーも違うので、ちょっとしたぜいたくとして鳥取のお客さまにも楽しんでもらえれば」と話す。 今後、これまでスイーツにすることが難しかったものや、地元農家から仕入れたフルーツを使ったチョコレートの開発も構想にあるという同牧場。小原社長は「(チョコレート作りの)奥はもっともっと深い。自分はまだ入り口くらいしかできていないと思っているので、これから精度をもっと上げていければ」と意気込む。 営業時間は10時~17時30分。
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