「格差」や「不安」の解決に向けて…IQ180の天才が語る台湾で実践されている“衝撃の方法”
コロナ禍において国民全員にマスクを配布するシステムをわずか3日で構築し、世界のグローバル思想家100人にも選出された若き天才オードリー・タン。自身もトランスジェンダーであるタン氏が、日本の若者に向けて格差やジェンダー、労働の問題からの「解放」をわかりやすく語る『自由への手紙』(オードリー・タン著)より抜粋してお届けする。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『自由への手紙』連載第7回 『全人口の「90%」が利用した「新システム」…台湾の天才が語る「ダイバーシティ」の全容』より続く
ベーシックインカムの可能性
格差や不平等を考えるときに、必ず議題にのぼる「最低限所得保障」というテーマがありますが、これについて台湾ではソーシャルイノベーションラボで扱っています。最低限所得保障などをテーマにした国際会議もいくつか主催しました。 私のほかに各省庁の人たち、デジタルの専門家、あらゆるセクターの市民たちが話し合う場であり、たくさんの意見交換をしてきました。 ベーシックインカムを推進する非常利団体UBI Taiwanとも対話を重ねています。主要メンバーのひとりはもともとソーシャルイノベーションラボのスタッフであり、社会を革新したいという思いを強くもっていました。 たやすく結論が出るテーマばかりではありませんが、台湾では「緊急の問題が起きてそれが既存の解決策ではどうしようもない場合には、政府が最低限所得保障制度で検討する」という傾向にあります。
「格差」「不安」といった問題の解決には...
それが大規模失業の蔓延であっても、構造的な格差の拡大であっても、どんな場合であっても、です。それが現実的であれば、最低限所得保障制度は可能性のある解決策のひとつとして大いに認められるでしょう。 格差や不安といった課題の解決は、言うまでもなく容易なものではありません。この問題を抱えているのは台湾だけでもないでしょう。 より効果的に推進しようとする司法制度や、経済モデルを支持する研究者たちが協働していくべきだと考えていますし、私たちは他の国々に、台湾の調査結果を喜んで提供します。 これは新型コロナウイルスの統制に似ています。医療分野での私たちの調査結果について提示するように強く求められてはいませんが、もっと世界に提供することができます。 やはり問題解決には、たくさんの声が必要なのではないでしょうか。 『「ドイツのほうが大人びて見える」…台湾の天才が実感した、日本人は絶対にしない教育における“重要な”考え方』へ続く
語り)オードリー・タン