きらきらと鮮やかな輝きを放つこちらの作品は、世界的芸術家・草間彌生さんの版画です。 草間さんの作品を集めた特別企画展が、鹿児島市立美術館で開かれています。 唯一無二の世界観を持つ草間さんの版画作品と、そのルーツを学芸員の解説とともにみていきます。 水玉模様の南瓜に・・・目の覚めるような色使い・・・この特徴的な作品を生み出したのは、長野県松本市出身の世界的芸術家、草間彌生さんです。 ２０２４年、７０周年を迎えた鹿児島市立美術館で開催中の草間彌生さんの版画展には、草間さんが下絵を描き、職人が版画に仕上げた１６６点が展示されています。 草間さんは幼少期から、水玉や無限に増殖する網目模様などの繰り返し襲う”幻覚”に悩まされていました。 その恐怖を克服するために、芸術として表現してきました。 水玉と網目模様をはじめとする彼女の中での「反復」と「増殖」が、草間さんの芸術の根幹となっています。 一つの版から何枚も作品を刷ることができる「版画」は、それと通じるものがあったのか、草間さんは彫刻や絵画に加え、版画作品の制作にも精力的に取り組んできました。 今回は、草間さんの版画作品の魅力を、学芸員の前野耕一さんの解説で深掘りしていきます。 最初の展示室には、草間さんが幼少期から興味を持っていた花や、ファッションなどをモチーフにした華やかな作品が並びます。 中でも、会場に入ってすぐ目に入るのが、この作品。 「靴をはいて野にゆこう」（１９７９年） 学芸員・前野耕一さん 「草間さんが初めて取り組んだ版画作品。草間さんの特徴的な『ネット』や『ドット』を靴がまとっている。靴や帽子、洋服といったものも、草間さんのお気に入りのモチーフのひとつだと思う」 このような、草間さんのお気に入りのものをたちをモチーフとしながら、さらにアレンジが加えられた作品が、こちら。 河内杏月アナウンサー Q.「こちらはきらびやかな作品が並んでいますが、これはどういった作品なんですか？」 学芸員・前野耕一さん 「はい、こちらはですね、お気に入りのモチーフなんですけれども、作品の中にラメが含まれていまして、光が当たるとキラキラするような作品になっています」 河内 Q.「ラメの版画なんですか？」 学芸員・前野耕一さん 「そうですね、ラメを用いたということになりますかね。草間さんのご実家のすぐ裏に小川があって、（幼少期に）小川のきらめきを見た思い出だとか、そういう思い出なども、この作品には通じているのかなと思われます。」 ラメが使われた作品ならではの楽しみ方もあります。 学芸員・前野耕一さん 「自分が作品を見ながら少し移動することで、光がきらきらっとするんですね。そこが本来であれば平面の作品なので動きが無いはずなのに、そこに変化が生まれるところが特に好きな部分ですね」 幼少期の体験や思い出の風景をもとに生み出されてきた草間さんの芸術作品。 それらは、草間さんの人生そのものとも言えるかもしれません。 鹿児島市立美術館開館７０周年記念「草間彌生版画の世界ー反復と増殖ー」は１１月１０日までの開催です。