〝秋〟実りも芸術も一遍に 福岡町つくりもんまつり
富山県高岡市で21、22の両日、300年以上続く奇祭「福岡町つくりもんまつり」が開かれた。期間中は野菜などで制作した人形やオブジェを街中に展示。訪れた人は、実りと芸術の二つの“秋”を一遍に楽しんだ。 【動画】夜の「つくりもんまつり」の様子 つくりもんまつりは、五穀豊穣(ほうじょう)に感謝し野菜などを素材に制作した「つくりもん」を街中に飾る伝統行事。江戸時代に同市福岡町の地域で、お地蔵さんを1軒に集め、野菜や果物を供えて供養したのが始まりという。時代とともに、お供え物が人や動物に見立てたつくりもんに変化した。出来栄えを競うコンテストもある。今年は個人や学校、地元企業など18作品が登場した。 優勝作品である「コイ路」は、江戸時代の街並みを野菜で表現した力作だ。ハクサイの川に架かるトウガラシの橋、欄干はサツマイモで、護岸はジャガイモ。川には同地の特産だったコイが泳ぐ。 制作した中島町青年会の浅地隆佳さん(53)らは、25年ほど前から毎年出品。3週間前から作りはじめ、祭り当日の朝5時まで夜通し作業して完成させた。「夜、皆でワイワイやるのが楽しい。この3週間で1年分のコミュニティーをつくった実感がある」と話した。 展示はかつて30作品以上あったが、新型コロナウイルスの感染拡大を境に減少した。 40年以上参加し続けているベテラン、山田吉雄さん(76)も作品数の減少を心配する一人。今回、初めて近所の子どもに声をかけ、カボチャの人形などでサーカスを表現した作品を合作した。 「子どもはやっぱり、つくりもんが好き。存続させたい」と力を込めた。 (鴻田寛之)
日本農業新聞