【高校野球ベストシーン’23・静岡編】両チーム合わせて25安打の打撃戦、浜松開誠館が初優勝へ王手をかけた夏準決勝
2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。 浜松開誠館と藤枝明誠のスタメン 【選手権静岡県大会準決勝・浜松開誠館vs.藤枝明誠】 勝利への執念は、両チームを熱くさせ、ファンの記憶に残る激戦を生む。夏の静岡大会準決勝。勝てば甲子園に王手のかかる大一番で、浜松開誠館と藤枝明誠が今年一番の試合を演じた。 浜松開誠館が4回までに5対0とリードする。本塁打1本を含む7安打で、勝利へまい進していた。藤枝明誠は5回まで4安打無得点。1番から5番まではノーヒットに抑えられていた。この展開が7回から大きく変わる。 7回に藤枝明誠が3安打と2四球をからめて3点を奪う。俄然、勢いがついた打線は8回にも4安打と四球をからめて3点を奪って、試合をひっくり返す。敗戦ムードから一転。1点を勝ち越し、決勝進出が見えてきた。 しかし、浜松開誠館も黙っていなかった。9回裏に先頭打者の死球を足がかりに連打で同点とすると、無死満塁から4番の新妻 恭介捕手(3年)が中前へサヨナラ打。藤枝明誠14安打、浜松開誠館11安打と、両チーム合わせて25安打が飛び出した壮絶な打撃戦は、浜松開誠館の劇的勝利で幕を閉じた。 これで打線に勢いが付いた浜松開誠館は、決勝で18安打12得点を奪って初優勝。春夏通じて初の甲子園を手にした。22年春季大会で静岡大会初優勝を収めると、春季東海大会でも初優勝。夏の甲子園出場も期待されながら、初戦敗退に終わった屈辱を1年後に晴らした形となった。 この試合に敗れた藤枝明誠は、22年の秋も浜松開誠館に3対4で敗れている。2度の惜敗に涙したが、今秋からの新チームでは静岡大会で決勝まで勝ち上がり、決勝で15対3の圧勝を収め、3年ぶり3度目の優勝を飾った。決勝の相手は、浜松開誠館。因縁の相手にリベンジを果たして見せた。東海大会では4強まで進み、来年のセンバツ出場へ望みをつないでいる。 あの激戦の勝者も敗者も、その後の快進撃の原動力となった。