世界大会に出場した熊本市の創薬ベンチャーが行政と連携した支援の必要性を訴えました。 勝田准教授 「日本とアメリカの違いというものを肌で感じることができて、貴重な経験をさせていただけた」 　10月、スタートアップ企業を対象とした世界大会で日本代表として出場した熊本大学の勝田陽介准教授。報告のため熊本市役所を訪れました。 　勝田准教授は、大学発の創薬ベンチャー「StapleBio」の創業者のひとりで、独自の技術を使って世界初の薬の開発に挑んでいますが、世界との差を痛感しています。 「社会実装しようとする段階で、大きな問題になってくるのは資金なんです。圧倒的な差があるということです」 　世界には7000種を超える希少な病と、3億人を超える患者がいて、日本では「難病」とも呼ばれ、その半分が子どもだと言われています。 　ひとつの薬を開発するためには10年以上の時間と数百億円もの開発費用がかかり、開発は進みにくい現状があります。 　しかし、かつてはこの新薬の開発で世界をリードしていたのが日本でした。 岩崎さん 「半導体がどんどん駄目になっちゃって、今何とかしないといけない。医薬品の状況は結構似ていて」 　武田薬品工業の代表取締役を務めた岩崎真人さん。創薬力の向上を掲げる国の構想会議のメンバーです。 　現在は、コロナ禍でワクチン開発の遅れや海外で開発された薬や国内で使うことができない「ドラッグラグ」などと呼ばれる課題があります。 　国内の「創薬力」をあげるためには、世界中の患者を見据えた考え方が必要だと訴えます。 「1個できたらそれはグローバルで使うべきだし、グローバルで使えるならグローバルから資金が集まるべきだし、スタートアップの会社も最初からグローバルをターゲットにものを考えていくという体制」 『創薬に関する第二の開国』 　勝田准教授は、世界大会で決勝に進むことはできませんでしたが、開発への意欲をさらに高めています。 勝田准教授 「基礎研究はしっかりしていても、それを世に出すことの難しさを痛感していて、一個人では何ともならなくて、一市町村でも何ともならないから、行政にも訴えかけたいし、僕自身個人でやれることはなんなのかと本当に真剣に考えるきっかけになった」 　社会課題の解決に挑むスタートアップ。官民の連携が課題となっています。