BTS Vが出演した話題曲を抜きK-POP1位独走する歌手BIBI その黒歴史とは
大ヒットの裏には大物カップルの愛憎劇?
BIBIの『栗ようかん』のヒットについては、別の面白い分析もネット上で出ている。それはこの曲を作ったチャン・ギハによるIUへの復讐だというのだ。 父親が外資系韓国企業の社長、自分はソウル大学社会学科卒業という異色の経歴をもつミュージシャン、チャン・ギハ。2012年の第9回韓国大衆音楽賞では、「今年のアルバム」「今年の音楽人」「最優秀ロックアルバム」「最優秀ロックソング」の4部門受賞するなど韓国のロックシーンをリードするアーティストだ。2018年まで10年間活動していたバンド、チャン・ギハと顔たちには韓国在住の日本人ミュージシャン長谷川陽平が参加していたので日本でも彼らの活動は知られている。 そんなチャン・ギハだが、2015年10月、韓国芸能ニュース専門サイトディスパッチが突然IUとの熱愛スクープを報じて話題を集めた。それも既に交際を始めて2年が経過しているということだった。ソロの女性K-POPアイドルとして人気実力ともナンバーワンのIUと、芸能ニュースとは縁遠いロックシンガーのチャン・ギハという意外なカップルの誕生は、驚きをもって迎えられた。ただ、この2人の交際はスクープから1年あまりの2017年1月に双方の事務所が「良い先輩と後輩の間柄に戻ることにした」と発表して幕を閉じた。 チャン・ギハは2918年にチャンギハと顔たちの最終アルバム『mono』に収録された曲『並んで』に 「帆船に乗って果てしない海を渡ったりもしたね。月へ行く宇宙船を予約しているとき僕はびっくりしたよ。もう 君は 立ち去って いなかった。並んで歩けばよかった。向かい合って笑えばよかった。じっと考えてみればよかった。本当に君が何を望んでいるのか」 と書いた。そして今回BIBIが歌った『栗ようかん』はその相手側の女性の気持ちを描いたアンサーソングだという。 確かにIUが人気若手俳優のイ・ジョンソクとの交際を2023年に公表してから初めてのアルバム発売に合わせて、チャン・ギハが5年間しまっていた『栗ようかん』をBIBIに歌わせたことで、結果的にIUのチャート独走にストップをかけた。「何かしら意図があるのでは?」とネット民が騒ぎ立てるのも無理はないだろう。 <「闇のIU」BIBIの黒歴史> BIBIが「闇のIU」と呼ばれていることは前述の通りだ。IUと比較されるのは歌手としての活動のほかに俳優としても活躍していることから来ている。また、「闇の」と呼ばれるのは、これまで発表した曲がどれもガールクラッシュ的な男性に媚びることのない強い女をイメージしたものだったことにも由来している。何しろタイトルを見れば一目瞭然だ。『社長、賭博は面白半分でしなければなりません (KAZINO)』『人生は悪いX』『哲学より怖いのはビビの銃弾』......。 また闇といえば、BIBIが今回『栗ようかん』でヒットするまでに一番人びとの記憶に残っている衝撃の「黒歴史」がある。 2022年6月にソウルで行われた音楽フェス「ウォーターボム・ソウル2022」に出演した彼女。ウォーターボムはアーティストとオーディエンスが水を掛け合いながら楽しむスタイルの音楽フェスで、BIBIも、白いTシャツにホットパンツ姿で登場し、全身びしょぬれになりながら、パフォーマンスをしていた。 ヒートアップするステージで、さらに盛り上げようとしたBIBIはTシャツを脱ぎ捨てて、ビキニ姿になろうとしたとたん、ビキニのストラップがほどけてしまったのだ。幸いにもその日はスタッフがビキニが水で脱げ落ちないようにステッカーを貼るようにと強硬に言っていたため、前と後ろにステッカーを付けていたという。だが激しいパフオーマンスと水のため背中のステッカーは水で取れていて、一つ間違えれば前のステッカーも取れて大惨事になっていたかもしれないという。 この件について後日バラエティ番組で話したBIBIは、「もしビキニがほどけて前の方まで見えていたらすぐに"チチビビ"と呼ばれてネットで騒がれただろう」と辛口のコメントで笑いをとっていた。さすが、「裸の赤ちゃんのように純粋で生の魅力を見せたい」という意味でBabyから転じてBIBIという芸名にしただけのことはある。 黒歴史をものともせず、今回の『栗ようかん』の大ヒットによって「闇のIU」からの脱却も果たしつつあるBIBI。今後の活躍が楽しみだ。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部