今の米国株式市場は高騰し、カジノみたいだ!?バフェットは本当にそう書いているのか?バフェットが述べた投資で本当に重要なこととは?
2月24日、ウォーレン・バフェット率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは例年どおり、「株主への手紙」を公表しました。メディアなどではその内容が話題となっていますが、私にはメディアの捉え方に少し違和感を感じるところもありました。 また、バフェットは毎年わかりやすく、投資に関する知恵が豊富につまった「株主への手紙」を書いており、そこには個人投資家にも参考になる点がいろいろと含まれています。 今回は、先日公表された、このバフェットの「株主への手紙」を取り上げたいと思います。 ●今の米国株式市場は高騰し、カジノみたいになっている!? バフェットは本当にそう書いているのか? 多くのメディアでは、「今の米国株式市場は高騰し、カジノみたいになっている」とバフェットが書いているなどと報道されていますが、そのニュアンスは少し間違って伝わっているかもしれません。 彼が言いたいのは、株式の売買のしやすさと情報の伝達スピードの加速によって、投機的な動きが投資よりも活発になっている、ということです。 バークシャーという会社は規模がかなり大きくなっていて、大きなディール、儲けのチャンスがなければ、従来のような速さでは成長できません。バフェットのコメントは、米国株が高いということよりも、バークシャーがディールを探しづらくなったことの方に力点が置かれていると私は感じました。 個人投資家がアクティブファンドを買う時にも、これと同じことに注意しなければいけません。ファンドが大きくなると、ポートフォリオが動かしづらくなりますので、そのリターンは下がりがちなのです。アクティブファンドを買う場合、他の条件が同じであれば、小さいファンドを好むべきです。 ●バフェットが書いている、投資で本当に重要なこととは? 以下は今回の「株主への手紙」でバフェットが書いていたことのポイントです。 ●質の高いビジネスにフェアな値段で投資すればいいのです。必ずしも最安値でなくても構いません。 ●投資は忍耐が報われるものです。長期的な視点を持ち、忍耐強く投資を続けることで、多くの「平凡な」決断を補い、富を築くことができます。 ●市場の短期的な動きに惑わされないことが大事です。短期的には市場は不安定ですが、長期的には実質的な価値が評価されます。 ●永続する価値を持つ企業に焦点を当てることも重要です。シンプルなビジネスで良好な業績を上げ続けられる企業の株を所有することを目指すのがいいでしょう。 ●投資は単純な原則に基づくべきです。投資の成功は複雑な戦略よりも、一貫した基本原則に基づくことが多いです。 個人投資家のみなさんにも参考になる点がいろいろと指摘されているのではないでしょうか。 [バフェットに関する参考記事] ●バフェットの右腕、チャーリー・マンガー死去。私に最も影響を与えたマンガーの2つの名言とは? 危機は投資のチャンスだ! ●なぜ、バフェットは日本の商社株に投資したのか? バフェットは銀行株をまだ買わない。バークシャーの株主総会でわかったことは? ●経済状態がいい時に資金を蓄え、危機になったら助けの手を差し伸べるのがバークシャーのやり方 バークシャーの投資は大体、経済状態がいい時に資金を蓄え、危機になったら助けの手を差し伸べるというやり方です。 では、個人投資家はどう動けるでしょうか。個人では経済全体を助けることはできません。しかし、個人でも危機の時に大きく投資することはできます。 たとえば、コロナショック、リーマンショック、東日本大震災などの時期に投資すれば、大きなリターンが得られました。通常時でも投資はした方がいいですが、危機の時は特に大きく投資することです。 ●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ(2022年8月来、為替込み+80%を達成)を配信中。
ポール・サイ
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