「麻酔なしで外科手術を…」 ガザ地区で“医薬品・燃料枯渇” 日本人医療スタッフ「医療崩壊の危機」訴え
ベッドで治療を受ける子どもたち。空爆が続くガザ地区にある病院では今、燃料不足で救急車や保育器などの医療機器が使えず、現地にいる日本人から「医療崩壊の危機に直面している」との訴えも出てきています。 ◇ 日本赤十字社の松永一首席代表が、ガザ地区の病院の実情について話してくれました。 日本赤十字社・中東地域現地代表部 松永一首席代表 「燃料も今日、明日とかもつのかという話を聞きました。(懸念は)保育器ですね。(ガザ地区は)半分以上が早産で生まれてきてしまう。(保育器が)止まってしまうと赤ちゃんが命を落としてしまう」 ガザ地区にある病院では、負傷した子どもの治療が行われています。こうした医療機器を動かすために必要な燃料が枯渇しているといいます。 国連パレスチナ難民救済事業機関 「燃料の備蓄はほぼ枯渇し、命を救う活動を続けられなくなっている」 ガザ地区は、イスラエルから電気や燃料などの供給が遮断されています。エジプトとの境界からは物資の支援も行われていますが、イスラム組織「ハマス」に奪われ軍事利用される懸念があるとして、燃料を運び入れることは認められていません。 国連の機関によると、燃料不足などによる影響で、35の病院のうち12の病院がすでに運営を停止しているということです。 今もガザ地区南部で避難生活を送っている国境なき医師団のスタッフは、「医療崩壊の危機に直面している」と話します。 ガザ地区南部で避難 国境なき医師団 白根麻衣子さん 「石油がないために救急車が動かせないというのは、もう本当に起こっています。燃料だけではなく医療品も不足しているので、麻酔なしで外科手術をしなくてはいけないといったことも起きています」 ◇ 深刻な人道危機に陥っているガザ地区。イスラエル軍による空爆は続いていて、ガザ保健省によると、これまでの死者は7326人。また、ハマスの主張では、空爆でイスラエル側の人質、約50人が死亡したということです。 私たちはイスラエルで、弟がハマスの人質になっているという男性を取材しました。ガザ地区近郊で行われていた音楽フェスに弟と一緒に参加していたところ、ハマスの襲撃を受けたといいます。 弟が人質の男性 「銃弾が頭上を飛び交い、車に当たったりしていました」 逃げる際、弟とは離ればなれになったといいます。 その後、ハマスが公開した映像の中に弟とみられる男性を見つけたということです。 弟が人質の男性 「毎日、弟がすごく恋しいです。弟も連れ去られたほかの罪のない人々も解放されるべきです」 (10月27日放送『news zero』より)