現地の採取業者は極貧

そんな危機的な状況のなか、フランキンセンス商品を販売するブランドの多くは、この商品は地球環境や社会、経済に配慮した「エシカル（倫理的）でサステイナブル商品だ」と主張している。だが、使用されている原料の「収穫者が誰であるかまでたどることは、ほとんど不可能」だと同紙は述べている。 さらに、高額で販売されていたとしても、利益の多くは仲介業者によってすくいとられており、エチオピアの地元の採取業者は「ほとんど利益を得ていない」と、同紙に証言している。 同紙の調査によれば、彼らは「数日間の労働に対して、収入はわずか5ポンド（約950円）しか受け取っていない」という。 絶滅危機に瀕した種の国際取引に関する条約（CITES）に基づいて、フランキンセンスの木を保護するための国際的な議論が進められているが、専門家は「取引を禁止すればフランキンセンスにまつわる経済が、闇ビジネス化してしまう。またこれまでそれに依存してきた人々の生活が損なわれる可能性がある」と警告している。 同紙によれば、フランキンセンスが絶滅危機に瀕していることを示す報告書が最初に発表されたのは2011年頃だった。 「明らかに危機的な状況で証拠もあるにもかかわらず、ウェルネス業界の多くのブランドは、自社の製品が環境や社会に与える影響について無認識または無関心のまま。透明性の向上や、現地の採取業者への支援がない限り、エチオピアのフランキンセンスの木は絶滅に向かっている」