映画『ウィキッド』がアカデミー賞受賞の有力候補となる理由
ミュージカル映画『ウィキッド ふたりの魔女』が次回のアカデミー賞作品賞を狙える候補として浮上している。その理由として、観客や業界関係者からの高い評価が挙げられている。 映画『ウィキッド』がアカデミー賞受賞の有力候補となる理由 まず注目すべきは、アカデミー会員たちは『ウィキッド』が好きというだけでなく、熱狂的に愛しているという点である。ロサンゼルスとニューヨークで行われた監督協会(DGA)、プロデューサーズ・ギルド(PGA)、全米映画俳優組合(SAG)の上映会、さらにはアカデミーの上映会でも、満席の観客が多くの楽曲に拍手喝采を送り、劇的なクライマックスの後にはスタンディングオベーションが贈られた。 また、映画の興行収入も強力な追い風となっている。COVID-19パンデミックを経て、映画業界は劇場公開作品の復活を目指しているが、『ウィキッド』は大規模な観客動員を記録し、業界の期待に応える成功を収めている。これにより、一部のアカデミー会員が圧倒的なスケール感を求める現在の流れに乗り、作品賞の有力候補として浮上しているのである。 さらに、映画のテーマ性も重要な要素だ。懐疑的な声や競合作品のキャンペーンでは、『ウィキッド』が『オッペンハイマー』のような深刻なテーマ性に欠けると指摘されるかもしれないが、ユニバーサルとその制作チームは、物語に込められた政治的に響くメッセージやキャラクターの葛藤を強調することで、映画が持つ深みをアピールしている。 実はこの映画『ウィキッド』には政治的背景がある。原作は湾岸戦争時に独裁的な支配者を描くディストピアとして執筆され、ミュージカル版ではイラク戦争に関連するテーマが盛り込まれている。2024年公開の映画では、この魔法使いが誰を象徴しているかは明確であり、選挙後の落胆を抱えるアカデミー会員の共感を得る可能性がある。しかし、優先順位付投票によって、賛否が分かれやすい本作が小規模な映画に押されるリスクも指摘されている。 映画『ウィキッド ふたりの魔女』は2部構成であるため、アカデミー賞投票者は、第2部が公開されるまでその功績を評価するのを待つかもしない。ただ、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』のように、シリーズ全体に対して1つの作品賞を授与することも考えられる。『ウィキッド』にはその魅力がある。 ※この記事は要約・抄訳です。