2月9日は「肉の日」 物価高でもやっぱり国産牛 小売り各社メニュー提案強化
物価高のあおりで国内の牛肉市場が縮小する中、小売り各社がメニュー提案による売り込みを強化している。老舗飲食店とのコラボレーションや、ユーチューブでの動画配信で、家で簡単にできる牛肉レシピを訴求。精肉や加工品の販売につなげる好循環を生む。2月9日は「肉(にく)の日」。物日に合わせた提案も、消費回復の一手になりそうだ。 ・老舗・今半とコラボ イトーヨーカドー 小売り大手のイトーヨーカドーの精肉売り場には、レシピ紹介用のQRコードが貼られた和牛や国産牛肉がずらりと並ぶ。レシピを監修するのは、老舗すき焼き店などを展開する人形町今半。フライパンで手軽にできるすき焼きなど、家庭でまねしやすいレシピや調味料とセットで提案することで、精肉の売り上げを伸ばしている。 輸入牛肉の高騰や節約志向の強まりで業界全体の販売が落ち込む中、同店では2023年秋冬シーズンの和牛、国産牛肉の売り上げが計画を1割上回るなど堅調に推移。人形町今半とのコラボ販促は2月末までを予定する。 イトーヨーカ堂マルシェ部の横山太志精肉担当マーチャンダイザーは「ただ値下げして売り込むのではなく、新たなメニュー提案や、質の高さを訴求していくことは、適正な価格形成にもつながる」と話す。 ・レシピ再生5万回 杉本食肉産業 オリジナルのレシピ動画配信でファンを獲得するのは、愛知県を中心に東京や関西などで精肉店、飲食店50店舗を展開する杉本食肉産業だ。人気が高まる冷凍ハンバーグの簡単な焼き方を紹介した動画は、公式ユーチューブ「お肉料理キッチンチャンネル」での再生回数が5万回を超え、話題を呼ぶ。 日常の食卓への取り入れやすさを意識し、材料には、こま切れやミンチなど比較的値頃感のあるものを選ぶ。「購入頻度が高い商品のレシピを発信して味の良さを知ってもらうことで、ステーキやすき焼き用ロースなどを購入するきっかけにもなる」(同社)という。 農畜産業振興機構(alic)によると、23年度の牛肉の推定出回り量は過去5年で最低だった前年を下回って推移。一方、「週末やハレの日は和牛の販売が伸びる傾向」(大手スーパー)との声もあり、時機を捉えた提案が販促の鍵となる。
日本農業新聞