【坂口正大元調教師のG1解説】軽い体+好バランス、道悪得意なブローザホーンV/宝塚記念
<坂口正大元調教師のG1解説 トップ眼> <宝塚記念>◇23日=京都◇G1◇芝2200メートル◇3歳上◇出走13頭 重馬場が明暗を分けました。象徴的だったのは坂の下りから4コーナーへ向かう地点です。外からブローザホーン、ソールオリエンス、ドウデュースがほぼ同じ位置にいましたが、馬群の外へ進路をとった2頭に対して、ドウデュースだけは内へ行きました。 直線は外の方が馬場がいい。ドウデュースの末脚を生かすには外を回った方がいい。それは武豊騎手もプランしていたはずです。それでも内へ行ったということは、枠順や外に馬がいた面もありますが、あの時点の手応えでは内にしか行けなかったということでしょう。それでも直線は馬場の悪いところをしぶとく伸びましたが、6着まで。4コーナーまでにすでに消耗していたと思いますし、凱旋門賞もそうでしたが、結論として道悪が得意ではないということでしょう。 一方で、勝ったブローザホーンは道悪巧者ぶりを見せつけました。とはいえ、巧者は他にもいましたから、外を回って外ラチ沿いを走らせた菅原明騎手の思い切った進路選択も大きな勝因でしょう。10週連続開催の最終週とはいえ、大外の大外はほとんど使われていません。道悪巧者だからといって悪いところを走るのではなく、中でもいいところを選んだ鞍上のすばらしいエスコートでした。 馬を見ると、本当に428キロしかない? と思うくらい筋肉のついた、体形のいい馬です。パドックの歩き方にも躍動感がありました。軽くてバランスがいいというのは悪い馬場をこなす1つの要因でしょう。母の父は私が管理したデュランダルです。うれしかったですし、京都の大外から差し切ったマイルCSを少し思い出しました。 2着ソールオリエンスはようやく復活しました。皐月賞を重馬場で勝った馬ですから、馬場がいくらか味方したのは確かですが、直線にかける競馬でいいところが出ました。3着ベラジオオペラは正攻法の競馬。馬体は大阪杯よりまたさらに良くなっていました。道悪巧者の2頭には差されましたが、まだまだ強くなると思います。10着ジャスティンパレスは馬場が全く合いませんでした。(JRA元調教師)