移住した夫婦のために…地域を挙げての結婚式に密着!(福島)
期待と不安が入り混じる花嫁行列のリハーサル
佐々木さん夫妻が着る着物などは市内の式場から借り、カツラは今泉さんが大切にしまっておいたものを使うことに。ヘアメイクも都路の美容師が担当。昔ながらの結婚式を再現するために、都路の歴史が綴られた本を参考にした。中でも注目は「花嫁行列」で、新郎新婦などが列を作り、町の中心部を180mほど歩いて会場まで移動する。当日は沿道に大勢の見物人が集まることが見込まれた。 結婚式まであと5日に迫ったこの日は、新郎新婦と住民らが参加して、花嫁行列のリハーサル。 妻・美歩さんは、 「当日が全く想像つかない。たくさん見物人が来るとは聞いている。」 と、期待と不安が入り混じる。 夫・馨さんは、 「都路に昔いい文化があったということを知ってもらい、町がもっと盛り上がる手伝いができたらいい。」 と前向きだ。式を盛り上げようと集まった住民は30人以上に上り、綿密な打ち合わせを何度も重ねて当日の成功を祈ってきた。
ついに迎えた本番当日…緊張の1日に密着
いよいよ迎えた式の当日。この日も住民たちが朝早くから座席の確認など準備を進めていた。よりあい処 華の今泉富代さんは準備に大忙しだ。ついに到着した佐々木さん夫妻は、「入り口の雰囲気を見て、ちょっと緊張している」と本番に向けて表情は硬いが、準備してくれた人たちと挨拶を交わすうちに緊張はほぐれてきた様子。新婦の美歩さんは、約1時間半かけて着付けが終わった。なかなか見る機会のない着物姿の妻に、馨さんの顔も緩む。 多くの住民が、楽しみにしていた花嫁行列が始まった。沿道に集まったのは150人以上。なかには、「都路ではもう見られないから、冥土の土産」と笑う人も。集まった人たちからは、「震災後こういうイベントはなかった」とか、「避難を経て人口が減ってきたから、こういうイベントを毎年見たい」といった前向きな感想が聞かれた。地域住民が一丸となって 作り上げた結婚式は、市外からも見物に訪れる人もいるほどの大成功。佐々木さん夫妻も、 最初のうちこそ緊張していたものの、多くの人たちから祝福を受けて式を楽しんだ。 夫の馨さんは式の後、 「人の温かさに包まれてこういった行事がずっとずっと続いて、広がっていけばいいなと思う。本当にここに2人で来てよかったなと思っている」 と笑顔を見せた。
KFB福島放送