なぜ人は自分を“盛る”のか? マッチングアプリに大量発生する「盛男」「盛子」の真実〈婚活塾に聞く画像加工のOK・NGライン〉
理想を追及する「盛子(モリコ)」、モテたい一心の「盛男(モリオ)」
そもそもなぜ人は、自分を“盛る”のだろうか。その理由は女性と男性とで大きく異なるという。 「女性は『こうありたい』という思いが男性より強いかもしれません。だから画像を加工するのは『理想の自分に近づけたいから』という印象を受けます。また、コンプレックスを画像のなかで解決したい、という気持ちもあるようですね。 一方の男性は、圧倒的に『モテたいから』! これまでのリサーチ結果でも痛感しているのですが、男性は女性が考えているよりも『モテ』に対するこだわりが強くて、それがさまざまな原動力になっているようです。『モテたいから仕事をがんばった』といった感じです」 さらに男性は、画像ではなく“プロフィールの盛り”が多い、と吉沢さん。 「マッチングアプリに登録するプロフィールを『事実とは異なる内容で登録したことはあるか?』という問いに対し、『はい』と答えた女性は37.5%、男性は57.5%と、約6割の男性がプロフィールを”盛って”いることがわかりました。 ただし“盛る”といっても『169cmの身長を170cmと記載する』『年収を580万円ではなく600万円にする』など、偽っているとは言いにくい程度の“小盛り”が多い印象です」 たしかに、その程度の“盛り”なら許されるのではないか。身長が1cm低いことよりも、価値観や考え方が一致するか、などのほうが重要だと思ってしまう。 「ただし、一つひとつは少しの“盛り”だったとしても、多くの項目でやれば、たちまち『別人』が出来上がってしまいます。画像もプロフィールも、盛りたい気持ちを上手にコントロールしてやり過ぎないことが重要です」
画像を加工する前に「現実を見よう」
では実際に、どの程度まで加工してよいのだろうか。まずは、強烈な加工事例を見てほしい。 目の大きさを最大にして、顔を最小まで小さくしていると、こうした宇宙人のような画像になる。実際の顔が気になるところだが、ハイスペ総研のYouTubeに登場しているので、ぜひ見比べてほしい。 続いて、一般の女性の顔写真をハイスペ総研の方に加工してもらった。 個人的にはNG画像もかわいいと思うが、どうしたって“宇宙人感”が否めない。 「加工アプリのレベルを最大まで上げると、人間らしさが薄くなってしまいます。特に肌の質感がつるつるすぎて不自然ですね」 OK画像のポイントはこうだ。 「いかにナチュラルに盛るか、がポイントです! 画像全体をワントーン明るくして、肌を全体的に自然なレベルで加工しています。蛍光灯の下で撮影すると顔に影ができやすいので、屋外で撮れるとよいですね」 続いて、実際に一般男性に自作してもらったNG画像とハイスペ総研の方に作っていただいたOK画像を紹介する。 NG画像は男性本人が自作で調査でランキング上位だった肌・目・輪郭のすべてを加工し、コンプレックスな鼻も加工したとういうが… 「このNG画像は完全に別人ですよね……。OK画像では、肌色を健康的に補正しただけです」 しかしこれらのOK画像は、実際の婚活戦線ではおそらく通用しない。そこで、実際に婚活に臨む場合を想定し、プロフィール画像の撮影時に対策すべきポイントを聞いた。 「まず、スウェットやTシャツはやめましょう。マッチングアプリでそういった服装の画像を見た人は『この格好でデートに来るのかな?』と思ってしまいます。男性なら上品なニットやシャツ、女性なら二の腕や首を出すような服を着て。 それから男性のヒゲは小綺麗さを意識して、髪型もデートを想定して整えたほうがいいですね。 そして男女とも、自然光の下で撮影すること。男性でたまに『トイレで撮影した』という人もいるのですが、明らかにトイレだなとわかる写真はとても不評です。 あとは、プロフィール画像の他に、友人と食事しているときや、誰かの結婚式に参加したときの画像など、自然体の姿や人柄が伝わるような画像を併せて掲載するのもおすすめですよ」 最後に、改めて画像加工の極意を聞いた。 「とにかく、やりすぎないこと。マッチングアプリの目的は恋愛や結婚なので、結局どんなに写真を加工しても、実際に会ってみて別人と思われてはなんの意味もありません。むしろ、『過剰に盛る性格の人』『ちょっとした嘘をつく人』といった不信感につながる可能性も。写真に自分の理想を反映せず、本体を変える努力をしましょう。実際に婚活するのは、まぎれもない“現実の自分”なんですから」 取材・文/金指 歩