世界資本フロー、コロナ以降で米が3分の1占める-脱ドル化論を一蹴
(ブルームバーグ): ここ数年、世界で脱ドル化を指摘する声が上がったものの、新型コロナウイルス禍以降、国境を越えて流入した投資の約3分の1を米国が占めている。
ブルームバーグ・ニュースに送付された国際通貨基金(IMF)の分析によると、2020年のドル不足が世界の投資家を動揺させ、22年のロシア資産凍結で資本の自由な移動の尊重に対する疑念が広がって以降、世界的なフローに占める米国の割合は低下するどころか上昇している。IMFによれば、コロナ前の米国の平均シェアは18%にとどまっていた。
ドルの優位性を巡る懸念があったにもかかわらず、米金利が上昇し、数十年ぶりの高水準を付けたことは、海外投資家にとって大きな魅力となった。また、米国は再生可能エネルギーや半導体生産を促進するバイデン政権による取り組みの下、多額のインセンティブが寄与し、直接投資の新たな波を引き寄せた。
こうした傾向は、急成長していた中国など新興国に資本が流れ込んでいたコロナ前からの大きな転換を意味する。世界の資金流入(グロスベース)に占める中国の割合はコロナ以降でほぼ半減した。
だが、返り咲きを目指すトランプ前大統領が11月の選挙で勝利すれば、「バイデノミクス」の目玉を覆す方針を示しているほか、米金融当局が今年後半の利下げ開始を示唆していることから、こうした優位性は長続きしない可能性もある。
原題:How the US Mopped Up a Third of Global Capital Flows Since Covid(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Enda Curran, Saleha Mohsin